高校生の進路選択と大学進学費用について

2020年6月23日 17:10

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出所:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」(2020年3月11日発表)

出所:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」(2020年3月11日発表)[写真拡大]

 新型コロナウイルス感染症のため、進路選択において重い決断を迫られる高校生もいるようです。詳しくは後日レポートしますが、今回は大阪府と兵庫県の高校で進路指導を担当なさっている先生への聞き取り調査をした中から一部ご意見を紹介するとともに、進路選択の際に大きな障壁となりうる大学進学費用についてまとめました。

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■翻弄される生徒

 高校3年生の進路指導は一般的には新学期が始まってすぐの進路希望調査に始まり、5月・6月の3者面談へ続きます。その後、7月の夏休み前には具体的な大学・専門学校・企業などを絞り込み、夏休みに入ると、オープンキャンパスや会社見学などを行い、ミスマッチを防ぐように指導が重ねられます。従って、進学するか就職するか迷っている生徒は例年なら夏休み前には決めておかなければならないことになります。

 ところが、今年は新型コロナ感染症の影響を受けて学校が休校になったり分散登校措置となったりしたこともあり、進路スケジュールが大幅にずれ込んでいます。加えて一部企業は内々に来年度の高校生採用枠を縮小することを打診するなど、迷っている生徒の中には早くも大学進学に舵を切る人もいるようです。しかし中には、大学へ進学したほうが良いのだろうけれども、家庭の事情でそうもいかない生徒もおり、現時点でまだ進路を決めかねている人が一定数いるようです。

■全ては7月になってから

 こうした現状を踏まえ、前回に本稿で触れたとおり、政府は企業の高校生採用選考の開始を1カ月スライドさせて10月からにすることとしました。

 それは良いのですが、求人情報の解禁は現在のところ例年どおり7月1日に行われるようですので、その後学校に求人票が行届くまでの約1週間、すなわち7月7日前後までは、例年と比べて求人が多いのか少ないのか、正確な判断がつきかねることになります。

 従って、今年就職か進学かの境界線上で迷っている生徒たちにとっては、現状が認識できればすぐに決断をしなければならない状況になっていると言えます。

■大学の進学費用について

 7月に早い判断をしなければならない生徒はもちろん、来年以降に高校3年生となる生徒さんや保護者の方たちのご参考としていただくため、大学の進学費用についてまとめました。

 図1は、日本政策金融公庫が3月に公表した資料から抜粋したものです。

 高校から大学に進学する際は、授業料以外にも大きな費用が必要となります。

 国立大学は文科省の省令で費用が決められていますが、私立大学は大学によって異なりますので、図は調査結果の平均値となります。

 初年度授業料や納付金以外にも、受験料や、入学を辞退した大学への納付金、教科書代や通学定期などの家庭内教育費用など、合わせると、国公立なら初年度授業料の8割超、私立なら5割から6割の費用が必要となります。

 これらの費用の財源としては、家庭の教育費以外にも、教育ローンや奨学金を活用する方法もあります。奨学金については、近年は利用者の増加とともにトラブルも増えているようですので、これも近いうちにレポートいたします。

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