電通G、20年12月期予想を未定に 1Qの営業利益は165.7%増に回復

2020年5月28日 17:53

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■収益は前年同期比0.9%増、純利益は黒字へ回復

 電通グループ(4324)は27日大引け後、既に発表していた20年12月期通期(IFRS基準)の連結予想を取り下げることを公表。収益は前期比2.8%増の1兆771億円、営業利益は1,082億円と前期の34億円の赤字から回復を予想していたが、コロナ禍の影響が計り知れず、不確実性が高まったこともあり取り下げた格好だ。

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 ただし、同日に発表した20年12月期の1Q(20年1月~3月)決算は良好な数字で悲観するものではなかった。収益は前年同期比0.9%増の2,527億円、営業利益は同165.7%増の247億円、四半期利益は153億円(前年同期は26億円の赤字)で、M&Aに関連する費用など一時的な要因を省いた調整後営業利益は同52.2%増の372億円と発表。

 コロナ禍の影響を懸念した通期目標の取り下げはあったものの、足元ではコスト抑制効果もあり良好な業績をあげている。

■国内外共に増益だが

 広告代理店のガリバーであり、世界的に展開している電通グループだが、コロナ禍の影響を受け、主要顧客であるテレビやインターネット、新聞における広告需要等が減退、売上も追随し減収となった。しかしながら、景気悪化に対応したコストコントロールをした結果、販管費を抑制することができ、国内外共に増益となった。

 良好な1Qの決算ではあったが、世界的にコロナウイルスの影響が大きく報じられた4月以降の業績は2Q以降となるため、先行きは非常に厳しい可能性が高く、今回業績予想を取り下げている。海外事業において1Qはイギリス、イタリア、米国といったコロナ禍の影響を大きく受けているエリアが堅調だったこともあり、2Qの見通しは極めて厳しいと言えよう。

■財務健全性を重視した経営戦略

 今回のコロナ禍をきっかけに、大きく事業環境が変化している。特に広告業界は景気状況に極めて連動する傾向があり、景気減退は広告の減少に繋がるため、今回電通グループは厳しい見通しを立てたとも言える。

 今期の通期予想を厳しく見立てていることと同時に、従業員の雇用確保と財務の健全性を図ることを発表している。一時的な報酬減額や採用抑制、不要なM&Aの実行を停止するなど、大規模なコストコントロール策を企てこの難局を乗り切る方針だ。

 現状では対外的の信用度は高く、格付け会社の長期信用格付けは「AA-」。十分な現預金と与信枠を確保しているため、目先の業績悪化には耐えられる状況だが、コロナ禍でどのように業績をあげられるかウォッチしていきたい。(記事:拓蔵・記事一覧を見る

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