韓国、AI使いPCR検査診断試薬を早期開発 政府は緊急使用を承認

2020年5月7日 07:21

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 韓国の新型コロナウイルス防疫策が、欧米各国から高い評価を受けている。韓国では、新型コロナウイルス感染拡大に関して「情報開示」が進んでいる。それは個人情報開示ではなく、政府の疾病管理本部が毎日記者会見をして、感染状況と対策を国民に報告するものだ。

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 韓国語だけでなく英語や中国語などにも訳して、世界と韓国の感染状況をグラフで説明している。これにより外国人も含めて状況が一目で分かるようにして、混乱を招かないようにしている。

 一方、日本では数字の裏付けが公表されず、憶測を招く結果になっている。東京のPCR検査を受けた人数ですら、長らく分かりにくい有様であった。このような不安が起きやすい状況では、情報開示が特に重要だ。

 また韓国では、PCR検査体制は、自動機などの投入により人手間もかからず、熟練者の必要が少なくて済む体制となっている。これを早い時期に日本も目指せば、現在の「院内感染」の危険などを防ぐことが出来ているだろう。日本がPCR検査体制整備に、時間も予算もAI技術もありながら全力を尽くさなかったのは一体どうしたことであろうか?

 日本経済新聞によると、欧米メディアが韓国の防疫に関して注目した項目は以下の通り。

 ❝(1)民間企業が人工知能(AI)を使ってPCR検査診断試薬を早期に開発し、政府は緊急使用を承認したことで早期に大量検査が可能になった

 (2)ドライブスルー検査やウォークスルー検査など、医療スタッフの感染を防止しながら大量に検査できる方法で感染者を早期発見・早期治療し完治者を増やした

 (3)軽症者は病院ではなく生活治療センター(政府や企業の寮を借りて軽症者を隔離し、医療スタッフがケア)に入所させることで医療崩壊を阻止した

 (4)感染者の動線を全て公開し、陰性の接触者も14日間自宅隔離させ地域感染を防止した

 (5)政府による透明な情報公開で社会的信頼が形成され買い占めが起きていない

 (6)都市封鎖や外出制限といった人々の移動を制限していない ❞

 日本も同様だが、韓国でも通常の医薬品承認にはかなりの時間がかかるようだ。だが、それを飛び越して「緊急事態」に特別承認できる法整備をしていた。そのため、民間企業がAIを使って開発した試薬を早期に使用開始できることとなっている。

 日本では、国産の「アビガン」が初期の軽症患者に使いやすい錠剤であるため、早期に投薬して「重症化」が防げると期待されてきた。それは「医療崩壊」を防ぐ手立てともなり、自宅待機する患者にも、さらには医療従事者にも安心感を持たせることが出来る。しかし、「レムデシビル」の承認が先行するようだ。

 それは、「法律の立て付け」の具合である。レムデシビルは病院で点滴により使用するため、入院して医療従事者に頼らねばならない。また、副作用の出現も4人に1人と言われている。それに対して、アビガンはインフルエンザ治療薬としてすでに認可されているのであり、副作用などの実体は分かっているはずだ。こうした場合に、日本はまだ現状の法律の立て付けにこだわっているのか?国民の命を最優先とすべき時であろう。

 韓国で実行されたように、AIの能力は既存薬剤の中から適格の薬を見つけ出すことにも役立つはず。どのような方法であっても使用して国民の命を救うべき時だ。まず「社会正義」に照らして、「現状の法律の不備」があるのなら、すぐにでも正すべきで、また「枠を超える決断」も必要な時であるのは明白だろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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