クルマのウィンカー、安易なLED化には大きなリスクも

2020年5月5日 07:59

印刷

 クルマのカスタムは、クルマ好きにとっては止められない楽しさがあるが、中でもライト類の交換は、多くの人が行っているだろう。特に最近はLEDの普及で、多くのクルマのライト類をカスタムできる。しかし、ウィンカーを白熱球からLEDにすると、光量不足に陥り視認性が悪くなるといった不具合が発生する恐れがある。

【こちらも】タイヤの空気圧不足はパンクやバーストだけでなく燃費悪化の原因にも

 LEDは、外装ではヘッドライトやフォグランプをはじめ、多くのランプ類に利用可能だ。内装でも室内灯を明るいLEDに変えることや、LEDテープを使いカーテシランプを制作するなど、幅広くカスタムとして使用されている。

 ここで、注目したいのがLEDの特徴だ。LEDは発熱がないということを知っている人も多いだろう。しかしそれは、発光部分が発熱しないだけであり、LEDを発光させるには、基板に大電流を流す必要がある。そのため、基板は発熱を起こし、効果的に冷却しなければLEDの寿命を縮めてしまう。

 発熱による性能低下を防ぐため、最近のヘッドライト用のLEDバルブには大きな冷却用のファンを取り付けたり、ヒートシンクを大型化して効率よく冷却できる工夫がされている。しかし、ウィンカーなどに使用するT20といったバルブにはヒートシンクがない。

 当然、ヒートシンクがなければウィンカーを点灯させた時に発熱し、うまく熱を逃がすことができない。点滅の繰り返しのため、それほど熱を持たないのではと考える人もいるだろう。確かに、右左折などの使い方であれば常時点灯ではないので放熱では有利である。しかし、あらゆる使い方を考えた時に、果たしてLEDウィンカーが安全かというとそれは間違いといえる。

 普段の運転を考えてほしい。長時間停車する時にドライバーの多くはハザードランプを点灯させるだろう。これは長時間連続点灯となり、冷却面でかなりLEDに負荷がかかっている。また、もしクルマが道路上で故障すれば、やはりハザードを点灯させレッカーなどを1~2時間待つことになる。この時にLEDウィンカーが点灯しなくなれば、どれだけ危険なことか理解できることだろう。

 LEDは前述の通り、熱により寿命を縮めるが、この他に熱ダレも起こす。高温にさらされ続けると次第に光量が落ちてしまう。特に日差しが強い日中で光量が落ちると視認性が悪くなりかなり危険だ。

 その反面、白熱球はというと、熱ダレを起こさず、発熱しても光量を落とすことはない。

 LEDによるカスタムは、クルマを光で無限大に楽しく輝かせてくれるパーツだが、ウィンカーに使うと思わぬトラブルになる恐れがある。LEDの特性を理解し、安全なカスタムを心がける必要がある。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る

関連記事