東京五輪、2021年7月23日開幕に決定

2020年3月31日 16:58

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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、延期された東京オリンピック・パラリンピックについて、組織委員会は30日、新日程を発表し、五輪の開幕を2021年7月23日とすることが決まった。当初の予定からほぼ1年の延期となり、閉幕は8月8日、パラリンピックの開幕は8月24日、閉幕が9月5日へ変更となることも併せて発表された。

■準備期間考慮し夏開催を選択

 30日午後に行われた組織委員、国際オリンピック委員会(IOC)等との会談により、新日程が決まった。会談後の会見で組織委の森喜朗会長は「早期の決定は今後の準備を加速させる」と語った。

 3月25日に「1年程度」の開催延期が決まってからは、各国際競技団体から酷暑を避けるため、春開催の声もあった。だが当初の日程と同様、7月の開幕に決まったことについては、「春だと選手側にとってハードスケジュールとなる」と、予選なども考慮した上での決定であることを明かにしている。

■世界各国で収束の見通し立たず、募る不安

 日程が決まったとはいえ、問題・課題と山積だ。

 開催都市である東京をはじめ、国内の開催準備を含めた体勢が整うことが大前提ではあるものの、1年後の見通しは不透明なままだ。日々、欧米やアジアを中心に新型コロナウイルスは勢いを増しており、感染の収束とは程遠い状況と言える。

 大会日程が「1年程度」ずれ込んだとはいえ、五輪予選や選考会、聖火リレーはそれ以前に行う必要がある。また、延期が発表される前の段階でカナダや豪州が派遣拒否を発表したように、日本国内のみの問題でだけはない。

 東京に訪れる世界中のアスリート、観客の日常生活が戻っていなければならず、現在も深刻さを増す欧州や今後のさらなる感染拡大の不安が拭えないアフリカ各国などが来年の夏、「祭典」に参加できる見込みは、まだはっきりとしない。

 日程が決まり、目標を明確にできたことで目指すべき方向性が定まったことは、アスリートをはじめ五輪に携わる多くの人々にとってマイナスではない。だが、そこに向かうには途方もない程の難題が立ちはだかり、クリアできなければ更なる選択を迫られる可能性も充分ある。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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