アイビーシーは売り一巡、20年9月期大幅増収増益予想

2020年2月27日 07:46

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 アイビーシー<3920>(東1)はネットワークシステム性能監視ツールを主力として、ITサービスの拡大やIoT分野への展開を推進している。20年9月期大幅増収増益予想である。第1四半期は赤字だったが、第2四半期と第4四半期の構成比が高い収益特性があり、通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は急落して安値圏に回帰したが、調整一巡して出直りを期待したい。

■ネットワークシステム性能監視ツールが主力

 ネットワークシステム性能監視ツール(ネットワークシステム全体の稼働・性能状況を精度の高いデータを取得して分析するソフトウェア)の開発・販売、および導入支援サービスを主力としている。

 ネットワークシステム性能監視に必要なマルチベンダー対応ソフトウェアを自社開発し、クラウドとオンプレミス環境を組み合わせた「ハイブリッドクラウド」の統合監視に対応したサービスをワンストップで提供していることが強みだ。

 主力製品はネットワーク性能監視ソフトウェアのSystem Answerシリーズである。17年7月には情報監視機能を備えた新製品System Answer G3、18年8月にはクラウド型System Answer G3 on SAMSを発売した。

 19年9月期の事業別売上高構成比(単体ベース)は、ライセンス(ソフトウェア使用権)販売59%、導入支援やネットワークシステム構築に係るコンサルティングなどのサービス提供16%、その他物販(他社製情報通信機器等の販売)24%だった。

 大手優良企業を中心とした顧客構成で売上債権の貸倒実績が無く、安定的な財務体質を維持していることも特徴だ。なお顧客の検収時期の影響で、第2四半期と第4四半期の構成比が高い収益特性がある。

■ITサービス拡大やIoT分野への展開を加速

 中期成長戦略としてITサービスの拡大、インシュアテック(保険×IT)分野やブロックチェーン技術を活用したIoT分野への展開を推進している。

 ITサービスの拡大では、IBCソリューション(System AnswerやSAMSプラットフォームを中心に、セキュリティを含めた総合的インフラ運用支援サービス)の拡大、高付加価値サービスの創出を推進している。

 新製品ではSystem Answer G3およびクラウド型System Answer G3 on SAMSの販売が20年9月期に本格化する見込みだ。また20年2月には、複数のシステム情報管理ソフトウェアを一括管理できるマルチテナント対応製品を販売開始した。

 インシュアテック分野の子会社iChainは、保険ポートフォリオ管理スマホアプリ「iChain保険ウォレット」を配信し、三井住友海上火災保険「お客さまWebサービス」とサービス連携している。また「iChain保険ウォレット・ホワイトレーベル」を、東海東京フィナンシャル・ホールディングスの子会社マネーコンパス・ジャパンに「そなえるコンパス」ブランドとして提供する。

 IoTセキュリティ基盤サービスのkusabi(楔)は、18年5月特許取得した2大中核技術(ブロックチェーン技術による電子証明システムと独自のデバイスプロビジョニングシステム)により、ソフトウェアだけでIoTセキュリティを実現する画期的なサービスである。3つの不要(専用チップが不要、認証局登録が不要、マルウェア対策が不要)を実現し、新たなIoT時代のセキュリティエコシステムを構築する。

 18年2月にはIoTセキュリティ標準化に向けてkusabiコンソーシアムを設立、18年3月にはkusabiのパートナーライセンス販売を開始、19年4月にはkusabiを詳細に解説したホワイトペーパーを発表、19年5月にはkusabi実証実験を支援するPoC支援サービスを開始した。総務省がIoTセキュリティ対策として、端末機器に不正アクセスを防ぐ機能を設けることを義務付け(20年4月から適用予定)たため、kusabiの採用が期待されている。

 なお19年4月には、NSD<9759>の子会社NSD先端技術研究所に出資して持分法適用関連会社化した。19年4月には、ブロックチェーン開発のサンデーアーツを子会社化した。19年8月には、ナビプラスからセキュリティ事業の一部を譲り受け、脆弱性診断サービスおよびSSLサーバー証明書クーポン販売を開始した。

 ベンチャー企業投資では、多くの投資実績を持つOctave Tech Investment L5 LLCに出資し、同ファンドを通じて自動運転車向けLiDARを開発する米スタートアップ企業に出資している。

■20年9月期大幅増収増益予想

 20年9月期連結業績予想は、売上高が19年9月期比39.4%増の25億55百万円、営業利益が44.1%増の3億52百万円、経常利益が39.3%増の3億11百万円、純利益が57.4%増の2億12百万円としている。

 第1四半期は売上高が前年同期比14.3%増の3億91百万円、営業利益が46百万円の赤字(前年同期は22百万円の黒字)、経常利益が52百万円の赤字(同22百万円の黒字)、純利益が57百万円の赤字(同14百万円の黒字)だった。サンデーアーツの連結も寄与して2桁増収だが、売上構成変化や販管費の増加などで営業赤字だった。

 通期は新製品のSystem Answer G3およびクラウド型System Answer G3 on SAMSの販売が本格化し、IBCソリューションの拡大を推進して大幅増収増益予想である。iChainが開発を進めていた製品の販売も開始するが、新規分野は保守的な予想としている。第1四半期は赤字だったが、第2四半期と第4四半期の構成比が高い収益特性があり、通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株価は売り一巡

 株価は急落して安値圏に回帰したが、売り一巡して出直りを期待したい。2月26日の終値は1019円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS38円49銭で算出)は約26倍、前期実績PBR(前期実績の連結BPS292円93銭で算出)は約3.5倍、時価総額は約58億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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