国内株式市場見通し:引き続き上値の重い展開か

2020年2月1日 14:53

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記事提供元:フィスコ


*14:53JST 国内株式市場見通し:引き続き上値の重い展開か
■日経平均は昨秋来の安値水準に調整

前週の日経平均は2週連続の下落。米国で2人目となる新型肺炎の感染者が見つかったほか、中国政府が団体旅行を中止するよう命じたことなどを受けて24日のNYダウは4日続落。これを受けて27日の日経平均は前週末比で一時509.86円安と大きく下げた。イラクの米大使館付近にロケット弾着弾が伝わったのに加え、一時1ドル=108円台まで円高が進行するなど悪材料が重なった。28日の日経平均も続落したものの、前日に続いて日銀のETF(上場投資信託)買いもあり、大引けにかけては下げ幅を縮めた。28日の米国市場でハイテク関連の上昇が目立って6営業日ぶりに反発した流れを好感して、29日の日経平均は3日ぶりに反発。朝方はマイナス圏に転じる場面もあったが、為替相場が円安に振れたことや、連休明けとなった香港ハンセン指数が寄り付きを安値に下げ渋ったことが安心感に繋がった。29日の米国市場は主要企業の決算が好感されてNYダウは小幅続伸。FOMC(米連邦公開市場委員会)では、大方の予想通り政策金利が据え置かれた。また、携帯端末のアップルが最高益更新となる決算を発表して上昇。しかし、30日の日経平均は、引き続き新型肺炎に対する懸念は強く、朝方に1ドル=109円台を割り込む円高もあり急反落し、約3カ月ぶりに節目の23000円を終値ベースで割り込んだ。主力株が軒並み安となる中、決算発表で受注の底打ちの兆しがみられたファナック<6954>やオムロン<6645>は逆行高に。新型肺炎について、世界保健機関(WHO)が緊急事態を宣言したことから30日の米国市場は軟調に始まったものの、主要企業の決算発表への期待からNYダウは大引けにかけて上昇に転じた。31日の日経平均もNYダウの3日続伸と為替相場の落ち着きを好感して反発した。ただし、後場は模様眺めムードが広がり、狭いレンジでの値動きとなった。個別では、通期業績予想を増額した富士通<6702>の上げが目立った。大引けの日経平均は227.43円高の23205.18円となり、月間ベースでは5か月ぶりのマイナスに転じた。

■米中の経済指標に留意

今週の日経平均は、自律反発を窺う場面を交えつつも上値は重い展開となりそうだ。世界保健機関(WHO)による緊急事態宣言を受けて各国の対策が進展し、新型肺炎の収束期待が浮上する形となって前週末の東京市場は買い戻しが先行した。しかし、31日には米国が公衆衛生上の緊急事態を宣言し、過去2週間以内の中国渡航歴がある外国人の入国を一時的に禁止すると発表するなど、世界的な実体経済への悪影響が強く警戒されることになっている。新型肺炎の拡大による経済的な影響は未知数であるため、今後発表されてくる5日の米1月ISM非製造業景況指数や7日の中国1月貿易収支といった米中経済指標の発表には警戒感が強まることになりそうだ。米1月雇用統計については東京市場の大引け後の7日夜の発表となるため、週末に向けては手控えムードが強まる可能性もある。スケジュール的には、3日に春節(旧正月)明けの取引が中国・上海市場で再開されることから、その落ち着きどころも焦点となろう。感染者が減少に転じるなどのピークアウトが見えるまでは日柄調整を強いられることになるとみられる。ただし、企業決算を好感する動きは継続することで、売られすぎの局面では自律反発を交える展開が見込まれる。また、4日のトランプ米大統領の一般教書演説も注目される。事前予想は難しいが、大統領選に向けてトランプ流のサプライズ発言があれば、相場ムードを一時的に好転させる期待もある。

■業績相場ピークへ、IPOも再開

物色的には企業決算が本格化しており、引き続き業績相場に一喜一憂する展開が継続する見込みだ。今期業績予想を上方修正した富士通<6702>やアンリツ<6754>などは素直に上昇しており、決算発表を手掛かりとした物色が中心となってくることが見込まれる。主要企業の決算発表日として、3日にパナソニック<6752>、村田製作所<6981>、4日にソニー<6758>、三井物産<8031>、5日に三菱商事<8058>、Zホールディングス<4689>、6日にトヨタ自動車<7203>、NTT<9432>、7日にホンダ<7267>、三井不動産<8801>が予定されており、7日がおよそ500社の発表ピークとなる。なお、ソフトバンクグループ<9984>は12日に決算発表予定だ。なかで、村田製作所<6981>とソニー<6758>の決算発表が注目される。このほか、7日は今年の第1号IPOが登場する。新興市場は厳しい展開が続いているが、IPOの再開で個別物色が局地的に復活してくる期待はある。

■中国市場の取引再開、一般教書演説、米1月雇用統計

今週の主な国内経済関連スケジュールは、3日に1月自動車販売台数、7日に12月毎月勤労統計調査、12月家計調査、12月景気動向指数、今年の第1号IPO銘柄としてジモティー<7082>がマザーズに、コーユーレンティア<7081>がジャスダックに新規上場する予定となっている。一方、米国など海外主要スケジュールでは、3日に春節明けで中国株式市場の取引再開、4日にトランプ米大統領の一般教書演説(上下両院合同会議)、5日に米12月貿易収支、米1月ISM非製造業景況指数、7日に中国1月貿易収支、米1月雇用統計などが予定されている。《FA》

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