NECと仏トランスジーン、AIにより開発されたがんワクチンの治験を開始

2020年1月10日 07:18

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 NEC(東京都港区)とフランスのバイオテクノロジー企業のトランスジーン社(Transgene SA)は7日、AI(人工知能)によって開発されたがんの免疫治療ワクチン「TG4050」の治験を開始したことを発表した。TG4050は、NECの最先端AI技術とトランスジーン社のウイルスベクター技術を組み合わせ開発された。第I相臨床試験はフランスの医療機関で行われ、卵巣がんと頭頸部がんの患者に投与される。

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 AIは今やさまざまな分野で利用されており、医療も例外ではない。ディープラーニング技術による画像診断技術や、膨大な数の論文を解析して医師の診断をサポートするシステムなどはその一例だ。こうした診断補助のほか、カルテの入力支援など、業務の効率化にもAIが利用されている。

 医療分野では、ほかにもAIの活用が期待されている領域があり、創薬もその一つだ。厚生労働省は「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」の報告書で、今後AI活用に取り組む6分野の一つに医薬品開発を挙げている。

 今回NECがトランスジーン社と共同で開発したTG4050は、患者ごとに異なるがんの目印を攻撃するよう設計された、がん免疫療法ワクチンだ。

 がん細胞にはネオアンチゲンと呼ばれる特有の抗原があり、患者ごとに異なるという。NECは独自に開発した「グラフベース関係性学習」に基づいた「ネオアンチゲン予測システム」を活用、AIにより正常な細胞とがん細胞のゲノム情報を比較してがん特有のネオアンチゲンを選定。

 選定されたネオアンチゲンを順位付けし、上位のネオアンチゲンに対応するワクチン(TG4050)を生成して患者に投与する。すると患者自身の免疫システムが刺激され、がん細胞を攻撃するT細胞反応を引き起こすという仕組みだ。

 NECが開発したネオアンチゲン予測システムを用いることにより、患者ごとにカスタマイズされた最適なワクチンを短期間で生成することが可能になるという。NECの藤川修執行役員は、「AIを活用した個別化免疫治療の実現に近づく一歩」と述べ、TG4050が世界中のがん患者に大きな変化をもたらすだろうと期待を寄せている。(記事:Kei_T・記事一覧を見る

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