自賠責保険、20年春にも値下げへ 自動ブレーキ普及などで支払い保険金が漸減

2019年12月19日 19:35

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 自動車の所有者に加入が義務づけられている自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料が、2020年4月から1~2割程度引き下げられる見通しとなった。自動ブレーキの普及などで事故が減り、支払い保険金が漸減しているのを反映したもので、保険料の見直しは2017年4月の引き下げ以来3年ぶり。国土交通省は17日、21年11月以降に国内で販売される新型乗用車(軽自動車を含む)に、自動ブレーキの搭載を義務づけると発表しており、より安全な自動車づくりを目指すメーカーの動きは加速する見通し。

 自賠責保険料は現在、自家用乗用車の2年契約で2万5830円。17年4月に6.9%引き下げられた。保険料は金融庁自賠責保険審議会の答申を受けて、損保各社で構成される損害保険料率算出機構が決定する。保険料は2011年4月に11.7%、13年4月に13.5%と連続引き上げられたあと、17年4月に6.9%引き下げられ、現行料金となった。

 自賠責は交通事故による被害者を救済するための「強制保険」で、死亡には最高3000万円、後遺障害に同4000万円、障害に同120万円の保険金が支払われる。機構によると、自賠責の支払い保険金は2000年代に入って徐々に下がってきた。事故件数が2000年の121万件余から18年には115万件余へと5.2%減ったのに対し、支払い保険金は9442億円から7643億円へと、19%も減っている。

 支払い保険金減少の背景として指摘されるのが、ASV(先進安全自動車)の普及が急ピッチで進んでいること。国土交通省が2021年11月から義務づけを予定している自動ブレーキ(前方障害物衝突軽減ブレーキ)については、メーカーの取り組みが先行しており、20年には新車の自動ブレーキ装着率は9割を超えるものとみられている。

 なお、すでに販売されている車種・モデルの自動ブレーキ義務づけについては、25年12月、輸入車については新型車が24年6月ごろ、既存の車種には26年6月ごろから適用される。(記事:澄・記事一覧を見る

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