渦巻く銀河の形成プロセス、空飛ぶ天文台が明らかに NASA

2019年12月14日 21:54

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巨大渦巻銀河M77周辺の磁場の様子 (c)  NASA/SOFIA; NASA/JPL-Caltech/Roma Tre Univ.

巨大渦巻銀河M77周辺の磁場の様子 (c) NASA/SOFIA; NASA/JPL-Caltech/Roma Tre Univ.[写真拡大]

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 我々の住む天の川銀河は、渦巻きを形成する銀河だ。楕円形や棒状の銀河などが存在するなか、渦巻銀河の形成過程については謎が多い。米航空宇宙局(NASA)は、天の川銀河とは別の渦巻銀河を観測し、この謎を解き明かそうとしている。

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■渦巻きの原因となる磁場

 中心から渦状腕が周囲を取り巻くような形状をしているのが、渦巻銀河である。今回観測対象となったのは、天の川銀河よりも大きな渦巻銀河だ。くじら座の方向に4,700万光年離れた場所にある渦巻銀河M77は、中心に天の川銀河の2倍の質量をもつブラックホールがある巨大銀河である。

 渦巻銀河の中心を取り囲む渦状腕には、塵やガスが密集している。そのため渦状腕では、「スターバースト」と呼ばれる、恒星が短期間で大量に誕生する現象が発生している。NASAの研究グループは、渦状腕内の塵やガス、星を観測することで銀河の形成過程を明らかにしようとした。

 銀河の形成過程には磁場が関与するとみられている。だが磁場は可視光線で観測されないうえに、高エネルギー粒子から放射される光や電波によって阻害されるという困難があった。

■空飛ぶ天文台が磁場を明らかに

 研究グループが磁場の観測に利用したのが、遠赤外線成層圏天文台(SOFIA)だ。ボーイング747SPに反射望遠鏡を搭載したSOFIAは、成層圏を飛行しているため、赤外線の観測を阻害する大気の影響を低減できる。

またSOFIAには、遠赤外線を高性能でとらえる「HAWC+」が搭載されている。これにより、M77周辺の磁場に対し垂直に並ぶ塵の様子が観測され、磁場の向きや形状が推論可能になった。

 NASAの報告によると、磁場は渦状腕に沿っているという。この事実は、銀河の中心を取り巻く「腕」がなぜ渦状なのかを説明する「密度波理論」を支持する。密度波理論によると、扇風機の波のように渦状腕内の塵やガス、星が重力の影響でベルトコンベアのように腕に沿って移動するという。

 アームは全長2万4,000光年にも及ぶという。これは銀河を作り出す重力が磁場を圧迫していることを意味する。

 「渦状腕内の恒星が誕生している場所で、大規模に磁場が並ぶ様子を観測したのは初めてのことだ」と、SOFIA科学センターの科学者エンリケ・ロペス=ロドリゲス氏は話す。

 研究の詳細は、米天文物理学誌Astrophysical Journalに掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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