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猛禽類からの警告 絶滅危惧に瀕することが意味することは

2019年8月16日 16:36

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 バードライフ・インターナショナルという組織が英国に本部をおき、活動をしている。日本にもバードライフ・インターナショナル東京が2002年に発足し、鳥類を指標に生息環境の保護を目的とした活動を行っている。

【こちらも】絶滅危惧種の「絶滅危険度」をゲノム情報から評価 東北大などの研究

 北海道にも猛禽類医学研究所という組織がある。おもに猛禽類の生息調査、保護、治療を実践している。バードライフ・インターナショナルが配信しているレポート(2018年9月10日付)のなかで、世界各地に棲息するおよそ猛禽類の52%で個体減少が確認され、18%が絶滅の危機にひんしていると発表した。

 なかでもその傾向が顕著に現れているのが、東南アジアであるとした。この調査では日本に棲息している猛禽類は34種が分析対象となっており、北海道のシマフクロウ、オオワシは絶滅危惧種である。

■環境指標としての猛禽類

 ではなぜ、猛禽類の保護がここまで注目されるのだろうか。数が少なく、貴重種だからではない。数が少ない猛禽類であっても、他の生物同様に自然生態系の一員であることにかわりはない。

 しかし猛禽類は、食物連鎖の頂点に位置する生物であるという点で、生態系全体が健全な常態であるかどうかを示す存在でもある。さらに、猛禽類はさまざまな生物を補食する。たとえば、他の鳥類、小動物、大型動物の死肉、魚、爬虫類など、多様な環境で生きる生物をエサとしている。

 また、猛禽類は比較的寿命の長い鳥である。いいかえれば、エサとして食べたものから、あるいは環境から体内に取り込まれた有害物質が、生物濃縮によって蓄積する可能性が高い。

 つまり、猛禽類が健全に繁殖し、その数を維持しているという状況は、生態系やそれを支える自然環境が健全であることの指標になると考えられているのである。現状のような猛禽類の減少は、生態系の維持や自然環境が健全に維持されていないことを現している。

■経済活動と保護

 なかでも問題視すべき要因が、人の経済活動によってもたらされる汚染である。先に挙げた猛禽類医学研究所によれば、猛禽類の鉛中毒による被害は、狩猟活動で使用される鉛ライフル弾の破片を、山野に放置されたエゾシカなどの被弾部や内臓を食べることで引き起こされていることがわかっている。

 北海道では1996年に鉛中毒のオオワシが確認されて以降、200羽近くの猛禽類が鉛中毒で命を落としているという。鉛弾への規制は進んでいるにもかかわらず、使用し続けられているという現状は改善されていない。

 鉛中毒だけではない。交通事故や開発による棲息域の減少は、猛禽類の減少に拍車をかける要因である。

 これは、人が経済活動をするうえで防げないことだろうか。そうではないことは、少し考えれば理解できることである。また、生態系の一部の絶滅は長い地球歴のなかでは当然ありうることだとしてよいのだろうか。それも答えはNOである。

 研究グループや研究組織が警告をならしているのは、そこではない。生態系の一部が急激に変化をし、絶滅にひんする状態を招いているということが、持続可能な世界を脅かしていることに対するものである。そのことは経済活動をするうえで、見落としてはならない視点である。

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