フリック入力アプリを公開していた個人開発者に損害賠償求める通知

2019年7月18日 08:29

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記事提供元:スラド

 2018年、日本人個人発明家が3D Touch機能に関してアップルに特許侵害訴訟という話題があったが、この訴訟の原告が個人開発者に対しても特許侵害を通知しているという。

 tinyfort曰く、

 まあ訴訟されたのではなくて侵害のメールを受けたのですが、皆様の情報や知恵を頂ければ。

 似たような特許侵害の訴えを体験した/しているホビー開発者もコメント頂ければと思います。少し長文ですが、ことの背景です。

 私はmozcをベースにしたAndroid用ソフトウェアキーボード(こんなの)を開発し、Googleストア上で公開していました。T9機能もどきを辞書への単語登録で実現したのと、操作を若干強化しているのが特長です。実のところ全然ダウンロードされずユーザーもほとんど居ない状況が続いており、ほとんど自分専用のソフトになっています。

 そこにアベトシヤス氏の特許権管理者から

 あなたのソフトはアベトシヤス氏に発行された米国特許第6,520,699号と中国特許番号CN 100396499を侵害している。

 私達は過去および将来のすべての侵害に対して損害賠償を受ける権利がある。

 本件についての参考として対アップル社の事件を紹介する。事件番号:3:18-cv-01067-SB。

 という概要の警告メールが届きました。

 Apple社との訴訟の概要は「iOSのフリック入力や3D Touchが特許侵害であるとして日本人発明家がAppleを訴える」にありますね。具体的な特許の内容はGoogle特許のUS6520699B2にある通りです。

 ちょうど前後してアプリ開発に対するモチベーションを失って公開を中止していたこともあり、私は

 該当ソフトに対する関心を失っているため既に公開を停止済み。

 当該特許は本アプリに当たらない。

 当該特許は当時の既知技術((T-CUBE(参考用PDF)&MFキーボード等の組合せなど)から容易に想到可能。

 既に公開停止しているので議論等の対応は考えていない。

 (なお本メール及び返信にはネット等に情報公開する場合がある)

 と回答しました。その後返信として

 侵害ソフトを提供していないことは確認した。

 しかし、過去の侵害に対して金銭的損害賠償を受ける権利がある。

 それにもかかわらず、特許の安価なライセンスをあなたに提供する。

 別途示される和解契約に従うことを条件として、基本的に以下のとおりとなる。

 特許を使用するには、安倍氏に100ドルの一時ライセンス料を支払う必要がある。 
 安倍氏は、侵害アプリの開発と使用から生じる特許侵害に対するすべての請求からあなたを解放する。 という概要のメールが届いたのが現状です。

 元々根拠のない特許侵害/侵害期間が無いため向こうの訴えの根拠を失っている状況ですが、少し興味が出てきたので、ソフト特許侵害に関して色々と皆さんお持ちの情報をお教え頂ければと思います。

 特に本件に関連する部分として

  Apple訴訟の最新状況 
 同様のソフトを出しているGoogleやJustSystem、Baidu、アルテ、flickの対応 
 米国特許第6520699号を明示しているアプリ・デバイスの存在。特に最新のiPhoneやAndroidが表記しているかどうか。(アメリカの特許制度だと特許表示が必須のようですので) 
 アメリカから撤退した(私のような)日本人を相手にアメリカで訴訟できるのかどうか。 について何かご存知の方がいらっしゃいましたら情報頂ければと思います。

 また、もっと一般的な話として

 自分が開発している/していたソフトについて特許で訴えられた体験 
 オープンソースにおける特許回避策(ソースコードのみの公開など) 
 ソフト特許や米国特許制度、米国司法制度における注意事項。 などについても、(問題の無い範囲で)コメントいただけると参考になります。もちろん、法の解釈などについて責任を有さない前提で構いません(出典へのリンクなどはわかる範囲でお教えください)。

 このやり取りで少しモチベーションが復活したので、mozcからフォークして改変部分をオープンソースで公開しようかと考えています。今のmozcだとAndroid用にビルドできないですからねぇ。最新の環境に対応すれば少しは需要あるのではないかと。

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