ドラッカーから見るマネージャーに必要な能力とは

2019年5月20日 15:03

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 「マネジメント」で知られるピーター・ドラッカーによれば、マネージャーの仕事の対象は人である。人という極めて異質なリソースなのである。人は疲れる。筋肉からは乳酸が出て、同じ仕事を長い間継続することはできない。人はもめ事を起こし、妬みもする。

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 ドラッカーは、このような特殊なリソースである人をマネジメントするためには、特殊な能力が必要であるとしている。人を管理する能力、調整役を務める能力、コミュニケーション力、人事制度を設計する能力などのほかに、愛想がいい、人助けをする、人付き合いが良いなどの能力も必要だ。だがこれらの能力は、誰でもある程度努力すれば身につけることができるとしている。

■テクニカルスキルとポータブルスキル

 人には後天的に学ぶことが容易なスキルと、後天的に身につけることが難しいスキルがある。前者をテクニカルスキル、後者をポータブルスキルと呼ぶ。テクニカルスキルは、その与えられた職務の中で身につける能力だが、所属が変わったり、与えられる職務が変わったりすれば役に立たなくなる可能性がある。

 一方ポータブルスキルは、職場や職務が変わっても共通して役に立つスキルだが、後天的に身につけるのは極めて困難という性格を持つ。

 ドラッカーはマネージャーに求められる能力は、比較的容易に身につけられると言っているが、一つだけ後天的に身につけることが難しい資質があると言っている。それはポータブルスキルの一つで、「真摯さ」という資質である。

■「真摯さ」というマネージャーの資質

 昨今は、色々な場面で、「真摯さ」の大安売り状態だが、本来「真摯さ」という資質は非常にシビアなものである。

 ドラッカーによれば、ビジネスにおける「真摯さ」とは、誰よりも多くの人を育て、好かれることよりも尊敬されることを求め、一流の仕事を要求し、自分にも課す。また基準を高く定め、それを守ることを期待し、誰が正しいかではなく、何が正しいかを考える。頭の良さで知的な能力を評価しない。

 ドラッカーは、幾ら人気があって、要領よく仕事をこなしても、「真摯さ」がないマネージャーは組織を破壊し、人材を破壊する可能性があるとする。一方、仕事もお粗末で、人望もないマネージャーでも組織的には無害だとしている。

 組織の中で、マネージャーを確保するためには、この「真摯さ」という特殊能力に着目する必要がある。勿論、全ての人がマネージャーの資質を持っているわけではないのだが、全ての人をマネージャーにする必要もない。できるだけ「真摯さ」の資質を多く持った人材をマネージャーとして育成することが、極めて重要である。