“思い込み”で減らせない「無駄な会議」

2019年4月19日 17:49

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 「働き方改革」が言われ、様々な業務効率化が進められる中で、特に「会議」はやり玉にあがります。

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 グローバル企業を対象にしたある調査では、管理職の1週間の平均労働時間は46時間で、そのうち会議で23時間、メールやオンラインのチャットで10時間を使っていたそうです。じっくり考えたりできるのは、1週間で13時間しかないということですから、それでは仕事がはかどらないことでしょう。

 会社によって実態に差はあるでしょうが、会議時間を短縮しようという話は当然の成り行きで、その取り組みは多くの会社でおこなわれています。よく聞くのは会議資料の簡素化や会議時間の制限といったことで、A4用紙1枚でパワポ禁止とか、60分以上の会議禁止、1週間の総会議時間数の制限、会議室予約の時間制限などの対策がありました。他にも着席しない会議で時間短縮を図ろうとしたり、テレビ会議で場所の移動を省いたりといったものもありました。
 いずれも「“まず時間を制限すること”で無駄を減らそう」という発想です。

 また他の調査では、こんな情報もありました。社内会議について、会社業績との関連を調べたものです。
 1日の会議回数は平均1.4回でしたが、業績が上がっている会社は1.7回と、積極的に会議をしている様子があります。ただ、業績が下がっている会社は2.0回と、それよりさらに回数が多いようです。
 1回の会議時間を見ると、平均68.2分に対して、業績が上がっている会社は67.2分と少し短く、業績が下がっている会社は79.5分と、平均よりも10分以上長くなっています。
 大きく違うのは会議の内容で、業績が上がっている会社では「意思決定」「問題解決」「アイデア出し」といった目的の会議が多いのに対し、業績が下がっている会社では「情報共有、報告の会議」が最も多くなっています。
 会議をやらないという会社もありましたが、ここでも業績が下がっている会社の比率が高くなっています。

 つまり、会議は一定程度必要ですが、業績の下がっている会社は“目的のはっきりしない会議”を長時間おこなっていて、反対に業績の上がっている会社は、何かを決める、議論するといった“目的のある会議”を一定時間でけじめをつけておこなっています。
 ここからすると、ただ会議時間を制限して「会議をやらない」というだけでは、業績低下の可能性もあるということで、会議の中身をよく吟味しなければなりません。

 ここで「会議の中身を吟味しなさい」というと、そこにはかなりの難しさがあります。
 社内会議というのは、大体誰かリーダーやマネージャーが仕切っていますが、本人たちがそれを無駄だと思うことはほとんどありません。無駄に気づいていないことも、自分たちのやっていることが無駄とは認めたくないということもあります。
 参加者である部下やメンバーたちは、今までを当たり前に受け入れていて、無駄かどうかを考えること自体やめてしまっています。
 こんなことから、当事者に「会議の中身を吟味しなさい」と言っても、時間や回数はほとんど減らせません。会社から指示する時間制限の取り組みばかりが多くなってしまうのは、仕方ない面があります。

 ただ、意外に効果があるのか、少し手前みそになりますが、私たちのようなコンサルタントなど、社外の第三者からの指摘です。
 私もいろいろな会社で数多くのミーティングや社内会議に参加しますが、「この会議は何の目的?」「この人数が集まる必要は?」などと尋ねると、実ははっきり答えてもらえないことがよくあります。そうなると皆さん急にいろいろ考え始めて、実際にコミュニケーション手段を変えて会議自体をやめたり、出席者を絞り込んだり、テーマを見直したりします。
 意義を見失っているような会議はどこでもありますが、そういうものだと洗脳された思い込みが、客観的な視点からの一言で解けるのでしょう。

 会社の仕組みの中には、なぜそうなっているのかが説明できなくなっているのに、「今まで通り」といって、ただ惰性で続けていることがたくさんあります。これは自力ではなかなか変えられません。

 会議の効率化などを進めるには、「これが当たり前」「やるのが当然」といった、自分たちの思い込みから解放されることが、一番大事なように思います。

※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら

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