出入国管理法改正と日本人の覚悟 外国人の受け入れ体制はいかに

2019年4月10日 08:27

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 愛知県豊田市のとある国際ボランティアグループ。地域でニーズの多い日本語教育を、ボランティアが外国人向けに行う。週に1度休日にひらかれるその教室は、150人ほどの受講生がいる。レベルごとにAからDクラスにわかれ、各クラスにはボランティアの講師が4、5人配置される。受講生はブラジル人、フィリピン人、韓国人、中国人、ベトナム人、イスラム系、アメリカ人、イギリス人など多様である。ボランティアのなかには日本語が堪能な外国人もいる。

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 教室では、たとえば「やってください」の「て」の使い方、「あげます」の「あげ」の使い方など、日本人が無意識で行っている言語処理をロジカルに教える。ボランティアは豊田市のためか、TOYOTAの社員も少なくない。ボランティアと生徒の外国人は和やかな雰囲気で授業をし、目立ったトラブルもほとんど起こらない。

 しかし受講生の現実は、ボランティアの目に映るような牧歌的なものでないのかもしれない。実際、問題が指摘されている「技能実習生」もたくさん入っている。多くは恵まれない労働環境、経済状況に置かれているだろう。

 ある日、こんなことがあった。あるイスラム系の人がボランティアに自らの文化が日本の文化がなじまないことを相談した。そのボランティアは「ここは日本だから」と答えた。イスラム系の外国人は黙ったまま、不満を噛み殺しているかのようだった。

 現在、日本にいる外国人労働者は127万人。2018年12月8日、出入国管理法改正が行われ、2019年4月1日に執行された。要旨は以下の通りだ。

■要旨

 在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」を創設する。特定技能1号を不足する人材の確保を図るべき産業上の分野に属する相当程度の知識又は経験を要する技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格。特定技能2号を同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格とする。

 1号は最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば得られる。1号での受け入れ人数は5年間で最大34万5150人を目安とするとしている。対象は介護、ビルクリーニング、姿形材産業、産業機械製造、電気・電子機器関連産業、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品生業、外食の14種である。

 2号は1~3年ごとに更新でき、更新時の審査を通過すれば更新回数に制限はなく、家族の帯同も認めるという。


 多くの外国人労働者は低賃金で、過酷な労働条件で働くことになるうえ、文化的にも慣れない環境に自らを置かざるを得ない。彼らは孤立しやすく、また立場が非常に弱い。

 政府は外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策を発表。また各地に、「多文化共生総合相談ワンストップセンター」を設立し、全国に100カ所、11言語で対応することを打ち出している。会社の外国人労働者について問題が発生し限界がある場合、このセンターの存在を知っておくことも一助となるだろう。

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