採用・教育・異動・評価など経営の基盤となる人事戦略について

2019年3月8日 21:19

印刷

 企業の経営資源は人・物・金・情報と考えられます。従来は人・物・金の有形財産でしたが、最近は無形財産の情報の重要性が認められて資源として加えられています。

【こちらも】本に載らない現場のノウハウ-中小企業の人事制度の作り方:第1回 中小企業に人事制度は必要か?(1/2)

 それぞれ企業を経営するために必要な要素ですが、特に人は企業が存続する上で中心の要素と考えられる場合が多いと思われます。人事戦略は企業の経営戦略を実現する上で極めて大切であると位置づけられ、採用と教育、異動と評価等をいかに実施するかが重要視されます。

●人事戦略

 人・物・金・情報の中でも、実際に経営を推進していく人の面は企業が存続していく上で基本となると思われます。そのため人事戦略は企業の最重要課題であると考えられます。

 人事戦略は採用や教育、異動や評価などに分かれますが、それぞれが人材を育成するために必要な要素であり密接に関連しています。入社から退社までの在職期間にどのような人材を育てて企業の発展につなげるかは、人事戦略の内容にかかっていると考えられます。

●独自の採用戦略の重要性

 2019年も3月1日が企業の新卒採用解禁の時期となっていますが、既に2020年の新卒の内定が出ている会社もあるという報道もあります。採用の取り決めに関わらず各社の熾烈な人材の争奪戦が水面下で行われており、独自の採用戦略を実施する必要があります。

 各企業の採用戦略のレベルが採用実績に反映される場合が多く、新入社員や中途社員の正社員の他に契約社員やパート・アルバイトなど採用全体にも影響を与えると思われます。

●人材の資質を活かす効果的な教育

 人材の教育は社内で実施する新入社員教育や中堅社員教育、管理職研修や幹部研修などの社員教育の他に、リーダーシップ研修や営業研修、マネジメント研修など会社の職務の目的別に求められる研修メニューが必要になります。

 新入社員教育から幹部研修までの社員教育では、会社の考え方や歴史などを教育する使命があります。また採用した人材の資質により、役員や管理職、技術者など会社を支える中核的人材に育成する役割があります。

●部門を活性化し人材を育てる異動

 異動には、部門を活性化する意味と人材を大きく育てる人事戦略的な意図が込められていると思われます。

 組織の各部門は、人の異動がないと刺激に乏しくなり不活性になりがちです。新しい人が入ることにより部門が刺激を受けて、活性化されることが期待できます。また本来は潜在能力を持った人材も、同じ部署の勤務が長すぎると能力の伸びが鈍くなる恐れがあります。環境が変わり新しい部署に移ることで大きく成長する面があります。

●満足感を与える評価制度や福利制度

 日本経済が低成長期に変遷したことにより、高度成長期の年功序列制度や終身雇用制度が盤石とは言えない状況になっています。そのため若年層だけでなく中堅や管理職でも、評価や福利などに不満で転職をする時代になっています。

 高度成長時の評価制度や福利制度は難しいと思いますが、社員が納得する公正な評価制度や満足できる福利精度は必要です。不適切な処遇や福利制度の不備は、離職の引き金になる可能性があり注意が必要です。

関連キーワード

関連記事