イースター島のモアイ像、謎の根底にあったのは淡水? ビンガムトン大学の研究

2019年1月14日 22:03

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モアイ像。

モアイ像。[写真拡大]

●モアイ像が建てられた位置についての最新研究

 チリ領イースター島に残るモアイ像は、現在も謎の多い遺跡として多くの学者たちの研究対象となっている。イースター島には、「アフ」と呼ばれる台座が300ほど残り、およそ1000体のモアイ像が確認されている。

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 モアイ像は巨大なものになると、高さが12メートルにも及ぶ。モアイ像の建設は、島の守護のためであったという説が強いが、現在も本来の由来は判明していない。

 最も議論の対象となるのは、モアイ像がなぜ海に背を向けて建てられているのかという点である。モアイ像建設理由や位置についての新説を、ニューヨークのビンガムトン大学が科学誌『プロスワン』に発表した。ビンガムトン大学の研究者たちは、モアイ像とアフの位置は淡水資源に結びつく可能性があると主張している。

●乾燥した気候のイースター島における水の重要性

 研究チームの1人、カール・リポ教授の推測によれば、イースター島は非常に乾燥した気候が特徴であり、日常生活において水をどのように確保するかは島の人々にとって最重要課題であったという。

 研究チームは、18世紀にヨーロッパ人が島に到着する以前に建てられていた93のアフの位置を分析した。これらのアフは、島の東部に集中している。そして調査の結果、このアフの位置が帯水層と一致することを発見したと発表した。

 つまり、アフやモアイは宗教的な儀式のためのみに建設されたのではなく、実用的な意味合いも込められていた可能性が高いというわけだ。

●水量が多い水源には巨大なモアイ像が

 調査された93のアフの周辺には、淡水の資源やかつてはサツマイモなどが栽培されていた畑が発見されている。

 これまでのイースター島についての研究では、古代から島では飲料水の確保が困難であったことが伝えられてきた。リポ教授は、今回の調査で水量が多い水源の近くには特に大きなモアイ像が建設されていたと語っている。

 リポ教授は、モアイ像の建設やその大きさが、水量や水質あるいは村落ごとの抗争と関係があるのではないかと主張している。

●学者間で新たな議論の的に

 今回のビンガムトン大学の発表には、反対意見も多い。

 カリフォルニア大学考古学教授でイースター島の研究者であるジョー・アン・ヴァン・ティルブルフ氏は、水量とモアイ像の大きさは必ずしも一致していないと主張している。

 また他の研究者たちも、淡水の位置だけを示すのであればあれほどの規模のモアイ像やアフを建設する必要はなかったと反論している。

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