三井物産、キャッシュ・フロー経営で既存事業強化と成長分野を確立 最高益更新へ

2018年11月19日 11:19

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 三井物産は11月12日、シンガポールの香料会社KHR社へ出資したと発表した。KHR社はシンガポールと東南アジアでハラル対応の実績を生かし、香料事業を展開している。

【こちらも】三井物産、上期利益は前年比6.5%減も通期は上方修正 過去最高益更新見通し

 三井物産では中期計画で、「食と農」を新たな成長分野の一つとしており、人口が多く、加工食品の成長率が高い東南アジア市場での取り組み強化を目指している。

 三井物産は1874年(明治7年)に維新の元勲として活躍した井上馨と益田孝によって創業され、益田孝が初代社長に就任した。明治初期、外国商館に独占されていた貿易を日本の手に取り戻そうとあらゆる産品の貿易を手掛け、世界に類を見ない「総合商社」というビジネスモデルを確立した。戦後財閥解体により分割されたが、第一物産を中心に1959年に合同して、現在の三井物産が誕生した。

 世界の66カ国・地域に138拠点、連結決算会社472社を擁し、金属分野、機械・インフラ分野、化学品分野、エネルギー分野、生活産業分野、次世代・機能推進分野の6分野で事業を展開し、生活にも関連ある多くの商品の原料調達、加工・製造、金融・IT、販売・物流など多局面に関わる三井物産の動きを見ていこう。

■前期(2018年3月期)・今上期(2019年4~9月)実績と今期計画

 前期純利益は前年よりも1,124億円増の4,185億円(対前年比37%増)で、営業活動によるキャッシュ・フローから運転資本の増減による影響を差し引いた基礎営業キャッシュ・フローは史上最高額となる6,665億円(同35%増)であった。

 純利益増加の主な要因としては、金属分野で石炭・鉄鉱石価格の上昇による金属資源の増益と鉄鋼の好調で1,271億円、英国揚水発電所の売却により機械・インフラ部門で228億円、ガス価格の上昇によりエネルギー分野で169億円の増益に対し、ブラジルの穀物集荷事業からの撤退により生活産業分野で517億円、新興国の携帯通信事業の損失などにより次世代・機能推進分野その他で42億円の減益によるものである。

 今上期実績は純利益2,229億円(同6%減)、基礎営業キャッシュ・フロー3,164億円(同4%増)で、今期の計画としては上期の好調な実績を受けて最高益更新となる純利益4,500億円(同8%増)、基礎営業キャッシュ・フロー6,000億円(同10%減)へ、各300億円上方修正した。

■中期計画(2017年3月期~2020年3月期)による推進戦略

 2016年3月期、金属資源、エネルギーの市況悪化で創業以来初の赤字となり、キャッシュ・フロー経営による適切な資源配分で既存事業の強化と成長分野の確立を目指して下記の戦略を推進する。

 1.キャッシュ・フロー経営の深化と財務基盤強化
 ・キャッシュ・フローとのバランスで投資規律を強化。
 ・中核分野65%、成長分野35%の適切な投資配分。

 2.強固な収益基盤づくりと既存事業の徹底強化
 ・金属資源・エネルギー、機械・インフラ、化学品を中核分野とし重点強化。
 ・ブラジル穀物集荷事業撤退など状況変化に応じたビジネスモデルの再構築。

 3.新たな成長分野の確立
 ・欧州を起点とする商用車電動化への取り組みなどモビリティ事業の推進。
 ・東南アジアの病院インフラなどヘルスケア事業拡大。
 ・曽田香料公開買い付け、KHR社出資など食と農業事業の強化など非資源成長分野の確立。

 赤字から脱却し最高益を更新して、大きく飛躍を目指す三井物産の動きから目が離せない。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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