欧米為替見通し:ドル・円は底堅い展開か、欧州リスクでドルに資金流入

2018年11月12日 17:25

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記事提供元:フィスコ


*17:25JST 欧米為替見通し:ドル・円は底堅い展開か、欧州リスクでドルに資金流入
12日の欧米外為市場で、ドル・円は底堅い展開を予想したい。イタリア財政規律やブレグジットなどの懸念が広がり、欧州通貨は売られやすい見通し。一方で、米利上げ継続方針を受けたドル買い基調に変わりはなく、ドル・円は下げづらい値動きとなりそうだ。

ドル・円は前週に114円を付けた後は週末にかけて軟化し、本日のアジア市場は113円台後半で寄り付いた。日経平均株価の軟調スタートを受け円買いに振れた後、株価の切り返しで114円台を回復。また、上海総合指数や米株式先物のプラス圏推移で円買いは後退し、ドル・円は底堅い値動きが続く。今晩は米国がベテランズ・デーの休日でNY市場での取引は薄いが(債券のみ休場)、株安に振れなければドル買い地合いは続くだろう。

欧州通貨の弱含みも、ドルの押し上げ要因となる。欧州連合(EU)がイタリアの財政規律に懐疑的な姿勢を示しており、イタリア政府は2019年度の成長見通しを引き下げ、予算案を見直す方向。ユーロ・ドルは節目の1.13ドルを割り込んだ場合、ユーロ売りが加速するとみられるが、イタリアの動向次第では買い戻しの可能性もある。13日が予算案の再提出期限となっている。

一方、ブレグジットに関しメイ英首相はEU離脱の最終案の取りまとめを急いでいるが、残留派の4閣僚が辞任する方向と報じられるなど調整は難航しており、議会での承認に暗雲が広がる。このため、ポンド・ドルも下落基調で、ユーロ・ドルとともにドル・円を小幅に押し上げる見通し。ただ、ドル・円は、米利上げ継続方針は続くものの、足元は具体的な買い材料が乏しく、114円台のドル売り圧力に上昇を抑えられそうだ。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・04:30 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁講演(経済見通し)《FA》

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