日産化学、19年3月期業績予測を上方修正 増配も決定

2018年11月6日 22:01

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 日産化学【4021】は5日、2019年3月期第2四半期(2018年4~9月期)決算を発表した。売上高は980億3,800万円(前年同期比7.7%増)、純利益は154億900万円(同16.9%増)となり、それぞれ同期間としては過去最高となった。同日公表した通期予想でも前回発表を上方修正している。配当に関しは前回発表した一株当たり38円から40円に増配。期末配当も一株当たり40円から42円予想に増額されている。

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 同社は千代田区に本社を置く総合化学メーカー。創業は1887年で日本初の化学肥料製造会社として起業された。

 展開するセグメント別に見ると、化学品部門で原料や運賃の上昇などから増収減益となった他は、いずれの部門も増収増益となった。機能性材料部門では、ディスプレイ材料や半導体材料、オイル&ガス材料がけん引。農業化学品部門では、動物向け寄生虫除去薬の原料となる「フルララネル」の出荷が国内・海外ともに順調に推移。医薬品部門では、高コレステロール血症治療薬である「リバロ」が海外向けに出荷が前倒しとなり、研究開発参加事業も増収増益に貢献した。

 現在の売れ行きが下期にわたっても継続可能という見解を示し、通期予想では売上高2,055億円(前回予想比0.7%増)、営業利益381億円(同3.5%増)、純利益は300億円(同5.3%増)と上方修正した。

 配当に関しては2016年4月に発表した中期経営計画での「配当性向40%」という目標にむけ、一株当たり年間82円の配当を予想した。これによって配当性向は40.6%に達する見込みだ。

 同社は高収益でかつ幅広いセグメントを有している。その結果2003年以降15年連続で10%以上のROE(株主資本利益率)を達成。また配当と自己株式取得による株主還元率も60%から70%を維持している。さらに研究開発費も売上高に対して8%から9%を10年間維持。一般には知名度の低い企業であるが、質の高い経営を継続して行っていることがうかがえる。(記事:福井廉太・記事一覧を見る

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