加賀電子は戻り歩調、商社ビジネス拡大とEMSビジネス成長で収益性向上目指す

2018年10月23日 09:32

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 加賀電子<8154>(東1)は独立系エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器を販売する商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを主力としている。富士通エレクトロニクスを19年1月子会社化し、商社ビジネス拡大とEMSビジネス成長による収益性向上を目指す。株価は下値を切り上げて戻り歩調だ。上値を試す展開が期待される。なお11月6日に第2四半期決算発表を予定している。

■独立系エレクトロニクス商社でEMSビジネスも展開

 独立系エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器を販売する商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを主力としている。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)73%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)20%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)6%だった。

■中期計画で19年3月期経常利益100億円目標

 中期経営計画2018は、利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付け、目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25~35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。

 成長戦略には「5つの重点テーマ」として、EMSビジネスの事業規模拡大に向けた海外拠点拡充、車載関連分野(ADAS、DMS、ハイブリッド車、電気自動車など)における市場ニーズへの対応、IoT分野(LPWA市場開拓やAIを活用したクラウドビジネス)への展開強化、M&A活用によるグループ経営基盤・収益基盤の強化、ベンチャー企業・事業への投資(3年間で50億円)を掲げている。

 17年10月には託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットへ出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。18年2月にはウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONXに出資した。

 18年3月には、出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社の前立腺癌生検および治療用システム「ProBx」が、米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得した。日本での販売は19年前半を予定している。18年6月には、IoTを活用したスマート・セキュリティ・サービス「Secual」を展開するSecualに出資した。

 18年8月にはソフトバンクグループで保育クラウドサービス「hugmo」を展開するhugmoに出資し、18年10月にはAIソフトウェア開発のハカルスに出資した。

■富士通エレクトロニクスを子会社化して収益性向上目指す

 18年9月には富士通エレクトロニクスを子会社化すると発表した。富士通セミコンダクターから2019年1月に株式70%を取得して子会社化し、その後2020年12月に15%、2021年12月に15%を段階的に取得して2022年1月に完全子会社化する。なお国内外における競争法に基づく関係当局の承認等を条件としている。

 本件買収によって売上高5000億円級の企業グループとなる。取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有により、電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。

 短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、商社ビジネス拡大とEMSビジネス成長により、中期的に収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

■19年3月期は中期計画目標値の達成目指す

 19年3月期連結業績予想は、第2四半期決算時に次期中期経営計画と併せて公表予定としている。電子部品事業を中心に受注環境が良好であり、中期経営計画最終年度の目標値(売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8.0%以上)の達成を目指すとしている。

 配当予想は年間70円(第2四半期末30円、期末40円)としている。18年3月期と同額だが、18年3月期は特別配当10円(第2四半期末5円、期末5円)を含んでいるため、普通配当ベースでは増配となる。

 なお富士通エレクトロニクスの子会社化が19年3月期連結業績に与える影響については確定後に公表するとしている。買収価額は総額205億円の見込みで、買収資金は自己資金および新規ブリッジローンによって調達予定としている。そしてブリッジローンは今後、様々な長期資金調達への切り替えを検討する。のれん計上額や無形固定資産償却等は買収完了後に公表予定だが、買収価額と純資産が概ねイコールのため影響額は軽微の見込みとしている。

■株価は下値切り上げて戻り歩調

 株価は8月の年初来安値1967円から下値を切り上げて戻り歩調だ。地合い悪化の影響は限定的だ。10月22日の終値は2473円、今期予想配当利回り(会社予想の年間70円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2571円79銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約710億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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