欧米為替見通し:ドル・円は伸び悩みか、109円後半にドル売り圧力

2018年5月9日 17:25

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記事提供元:フィスコ


*17:25JST 欧米為替見通し:ドル・円は伸び悩みか、109円後半にドル売り圧力
9日の欧米外為市場では、ドル・円は伸び悩む展開を予想したい。米国のイラン核合意離脱問題への過度な警戒が弱まり、リスク回避的な円買いはさらに後退する見通し。ただ、心理的節目の110円に向けドル売りが強まると観測され、目先は上値の重い展開となりそうだ。

トランプ米大統領は本日未明、イラン核合意からの離脱を正式に発表した。トランプ大統領はオバマ前大統領の政策をことごとく覆しており、核合意離脱とイランへの再制裁は事前に織り込み済みだったことから、ドル売り・円買いは限定的となった。こうしたなか、本日のアジア市場では、リクルートによる米オンライン求人サービス大手グラスドアの1300億円規模の買収が発表され、武田薬品工業のシャイアーに次ぐ大型買収案件のため思惑的な円売りが強まった。ドル・円は、米10年債利回りの上昇に加え、今週の高値である109円40銭を上抜けたことで買いに弾みがつき、一時109円65銭まで強含んだ。

ただ、アジア市場のドル買い・円売りはすでに一巡しており、目先のドル上昇ペースは減速気味になりそうだ。今日と明日開催される英中銀金融政策委員会(MPC)の政策決定を控え、積極的には動きづらい展開となろう。英国の足元の経済指標は低調な内容が目立ち、今回は利上げ見送りの公算だが、今後の利上げ時期を見極めるムードが広がる見通し。一方、今晩は米国の経済指標で4月生産者物価指数の発表が注目される。前回から伸びの鈍化が見込まれており、ドル売りになる可能性がある。ただ、明日発表となる4月消費者物価指数が伸び拡大の予想であり、ドル売りは限定的となろう。反面、心理的節目の110円手前では強いドル売り意欲が観測され、110円の回復は想定しにくい。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・20:00 米・MBA住宅ローン申請指数(先週)(前回:-2.5%)
・21:30 米・4月生産者物価指数(前月比予想:+0.2%、3月:+0.3%)
・23:00 米・3月卸売在庫改定値(前月比予想:+0.5%、速報値:0.5%)
・02:00 米財務省10年債入札(250億ドル)
・02:15 ボスティック米アトランタ連銀総裁講演(経済見通しと金融政策)
・06:00 NZ準備銀行が政策金利を発表(1.75%に据え置き予想)《FA》

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