14世紀ヨーロッパを襲った「黒死病」、原因はネズミでなかった可能性

2018年1月21日 20:57

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●2500万人が死亡したといわれるペストについての定説がくつがえる

 1347年から1352年にかけてヨーロッパを襲ったペスト。推定では2,500万人から3,000万人が罹患し死亡したといわれている。これは、当時のヨーロッパの全人口の3分の1にあたる。

【以前にも】14世紀ヨーロッパの黒死病流行の犯人はネズミではなかった?

 これまでは、このペストはペスト菌に感染したノミがネズミによって運ばれて大流行したというのが定説であった。しかし、ノルウェーのオスロ大学とイタリアのフェッラーラ大学の共同研究により、14世紀のペストはノミやシラミから人間への直接感染であった可能性が高くなった。

●14世紀のペスト「黒死病」

 14世紀のヨーロッパに酷い爪痕を残したペストに「黒死病(ラテン語でatra mors)」という名を与えたのは、デンマーク人とスウェーデン人であるといわれている。

 19世紀初頭、ドイツ人医学者ジャスタス・ヘッカーの論文によりこの言葉は定着し、現在も英語では「Black death」と呼ばれている。また別の説では、「黒いネズミ」が感染源であったことを示す命名であるともいわれてきた。

●9つのヨーロッパの都市に残る情報をもとにシミュレーション

 ノルウェーとイタリアの研究者たちはヨーロッパの9つの都市に残る情報を分析、各都市のペストの流行のシミュレーションを行い、数学的なモデルを再構築した。

 研究チームは3つのモデルを用意した。ひとつはネズミからの感染、2つめは空気感染、もうひとつは人間の接触や衣服からの感染である。

●9例中7例が人間からの直接感染

 その結果、9例中7例が「人間の体についた寄生虫」が、人間を死に至らせる疫病をアウトブレークさせた要因となることが判明した。

 オスロ大学生物学教授ニルス・ステンセスは、こう語る。「14世紀のペストの原因は、人間の体から体に移るノミやシラミが原因です。疫病がネズミを感染源にする場合は、14世紀のペストのような急速な流行はあり得ないからです」。

●現代も残るペスト

 この研究は、「米国アカデミー紀要(PNAS)」に掲載されている。まさに歴史的にも大きな価値を持つ研究といえる。

 アジア、アフリカ、アメリカ大陸の国々には、現在もペストは風土病として存在している。世界保険機構(WHO)によると、2010年から2015年のあいだに世界中で3,248例が報告されており、そのうち死者は584名に上る。

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