休場が続出の大相撲9月場所 急増する地方巡業も一因か

2017年9月16日 11:53

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■とにかく多すぎるけが人
 大相撲人気が最高潮を極め、チケットを販売してもすぐに売り切れ状態となった9月場所。たが、場所前に白鵬、稀勢の里、鶴竜の3横綱が休場と言うまさかの展開になってしまった。さらに高安、照ノ富士の2人の大関陣も休場した。多彩な技で観客を魅了する宇良も休場し、大きな落胆をしているファンも少なくない。

 特に、1月場所に稀勢の里が横綱になったことや、3月場所の大逆転劇を見て「これから相撲を見よう!」と思った新しいファンは離れていく人が多いかもしれない。主要力士が相次いで休場するような場所であれば、見たくなくなるファンがいても当然であろう。特に、新しく相撲ファンになった人が必死の思いでチケットを取ったのにこの結果であれば、仕方のないことかのもしれない。

■優勝の価値
 さらに今場所の優勝の価値にも疑問が出るかもしれない。優勝は優勝としてとらえなければいけないが、上位陣がごっそり抜けてしまった中での優勝が、上位陣が万全の中、熾烈な優勝争いを勝ち抜いての優勝と同列になるのだ。優勝者には敬意を払いたいが、やはり「どうなの?」という感想を持ってしまう人は出てくるだろう。

■相撲協会の反省点
 けが人続出の背景には相撲協会のスケジュール管理の失敗も挙げられる。「けがをする方が悪い」と言うような形になりがちだが、ここまでけが人が膨れ上がれば、むしろ力士よりスケジュールの方が問題ありとみていい。

 特に近年急増した地方巡業が原因の一つと考えられる。相撲人気が過熱したことにより、「多くのファンに見てもらいたいから地方巡業を増やす」と言うのは分かる。しかしいきなり増やしすぎているのだ。14年には37日間だった地方巡業は、昨年には75日に増えている。今年は66日間と減ったものの、2年続けて異常な多さである。(ちなみに15年に64日間開催されているが、60日間以上の開催は01年以来だ)

 ファンと言うのは力士の健全な健康状態の上で成り立っていると考えなければいけない。「まずファンを獲得する、そのために地方巡業を多く開催する」という考えではいけないだろう。

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