朝鮮半島の地政学リスクがやや後退 8月15日のドル円為替

2017年8月15日 12:06

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 8月2週目は、朝鮮半島の地政学リスクによって109円台を割るところまで円高ドル安が進み、最終的に1ドル109円15銭でクローズした。8月3週目のスタートは地政学リスクの後退からドル買いの動きだ。今週は7月小売売上高の発表や、FOMC議事要旨の公表もあり、さらにドル高となるのか注目される。

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 米国はティラーソン国務長官とマティス国防長官が、北朝鮮と外交の余地があることを発表した。米国が武力衝突回避の姿勢を示したことで、リスク回避の動きが強まり、さらに一部米紙で北朝鮮によるグアムへの発射計画が中止になったという報道からドル買いが加速。8月14日2:30(すべて日本時間)には1ドル108円92銭だったが、日付の変わった15日10:00には1ドル110円23銭の上値をつけている。直前の9:20ごろにはホワイトハウスから、トランプ大統領がインフラ計画に関する大統領令に署名したと発表があり、こちらもドル買いの大きな材料となっている。しかし地政学リスクへの警戒を緩めることはできないだろう。8月21日には朝鮮半島で、北朝鮮が最も嫌がる米韓合同軍事演習を控えているからだ。為替相場の大きな変動には充分注意したい。

 本日は21:30に7月小売売上高が発表となる。前月の-0.2%から7月は事前予想で+0.3%となっている。期待されているだけの改善がされればドル買いの動きはさらに強まるだろう。併せてニューヨーク連銀製造業景気指数や輸入物価指数といった経済指標の発表も行われる。15日2:40ごろにはタカ派のダドリー・ニューヨーク連銀総裁が、「9月のFOMCでバランスシート縮小開始を発表したい」「年内の追加利上げを引き続き支持する」とコメントした。しかし、先週発表された7月生産物価指数(PPI)と7月消費者物価指数(CPI)が低調だっただけに年内追加利上げ観測は厳しい状況になっている。16日に公表されるFOMC議事要旨の内容を確認するまで市場は様子見ムードが続くだろう。(記事:ろひもと理穂・記事一覧を見る

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