猫の慢性腎臓病治療薬、4月より初の市場投入へ

2017年1月24日 08:32

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腎臓の主機能を司るネフロンという組織を、猫は一つの腎臓に約20万個持つ。ちなみにヒトの腎臓では約100万個である。

腎臓の主機能を司るネフロンという組織を、猫は一つの腎臓に約20万個持つ。ちなみにヒトの腎臓では約100万個である。[写真拡大]

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 また一つ、人類の手で、アンメットメディカルニーズが埋められた。ただし、今回はヒトの傷病の話ではない。猫の話である。東レが、猫慢性腎臓病治療薬「ラプロス」の販売について製造販売承認を獲得、4月より、共立製薬を発売元として、販売を開始する。

 アンメットメディカルニーズとは、その疾病などに対する治療手段がまだほとんど、あるいはまったく発見されておらず、対処法が存在しない領域のことである。猫の慢性腎臓病も、その一つであった。

 猫の腎臓病は、猫にとって、また猫飼いにとって恐るべき病である。10歳以上の猫の有病率が30~40%と極めて高いにも関わらず、病態もあまり解明されておらず、治療手段も乏しかったのだ。

 しかし、東レによれば、近年の研究で猫の腎臓病の原因は、「線維化」と「炎症」にあることが分かってきた、という。腎臓組織の線維化は虚血と低酸素状態をもたらし、それがさらに線維化を悪化させる。その循環が猫の慢性腎臓病の本質であるらしい。

 そこで開発されたのが、血管内皮細胞の保護、血管の拡張など種々の腎臓の虚血・低酸素状態を改善する薬理作用を持つ、ベラプロストナトリウムを有効成分とする製剤、つまり、前述のラプロスである。猫の腎機能低下を抑制する薬剤として承認されたのは、少なくとも日本国内では、このラプロスが初めてであるという。

 製品概要を見てみよう。有効成分ベラプロストナトリウムを一錠あたり55ナノグラム含有する。一回あたり一錠、一日二回、朝晩食後に経口投与する(猫に錠剤を経口投与するのは楽なことではないのだが……まあ、致し方がなかろう)。効能は、IRISステージ2~3の慢性腎臓病における、腎機能低下の抑制と臨床症状の改善、である。

 私事を申し上げて恐縮であるが、筆者の家にも実は、黒猫が一匹いる。まだ若く健康であるが、いずれこの薬の世話になる日が来るかもしれない。筆者に限らず、世界の多くの猫飼いにとって、これは大いなる福音だと言えよう。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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