【2017年の展望】主役は「コメ」?TPPに農協改革…どうなる日本農業

2017年1月3日 11:40

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記事提供元:エコノミックニュース

17年度予算案では、水田の畑地化推進に1034億円を計上。労働時間が不規則な酪農家の負担を削減するための機械化支援に60億円。営農が厳しい中山間地の農業支援に400億円が新たに設定された。しかし全体でみると17年度は目新しい項目が乏しく、農業の基盤整備に力点を置いている。

17年度予算案では、水田の畑地化推進に1034億円を計上。労働時間が不規則な酪農家の負担を削減するための機械化支援に60億円。営農が厳しい中山間地の農業支援に400億円が新たに設定された。しかし全体でみると17年度は目新しい項目が乏しく、農業の基盤整備に力点を置いている。[写真拡大]

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TPPや農協改革など、話題の多かった2016年の農業。マスコミに取り上げられることも多く多くの課題を露呈した。しかしそのどれもが解決には至っておらず、17年も引き続き各所の動向が注目されている。17年、日本の農業はどこへ向かうのだろうか。

 何より気になるのが16年11月に参院本会議で承認されたTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)だ。日本やアメリカ、ニュージーランドやシンガポールなどの環太平洋地域による協定で、それぞれの国で設定していた関税を撤廃して自由な貿易を促すことが主な内容だ。関税がなくなることで今までより安価に輸入ができるようになり、各国の経済が発展するとされている。

 しかし前日にアメリカの次期大統領、トランプ氏が当選早々にTPP反対を宣言。交渉の先行きは不透明だ。トランプ氏はその後も「就任から100日以内に取り組む政策課題」として貿易政策を掲げ、「17年1月20日の就任初日にTPP協定からの離脱を表明する」と動画メッセージ内で強調した。「アメリカにとって大きな災難となる」とまで話し、代わりに公平な2国間協定の交渉を進める予定だとした。

 TPP協定は、署名から2年以内に参加する12の国すべてが議会の承認など国内手続きを終えれば発効する。署名日は16年の2月4日なので、18年の2月3日がリミットとなる。ただしいずれかの国で承認されなくても、最低6か国以上の国でGDPの85%以上を占めることができれば、60日後に協定が発効する仕組みになっている。日本のGDPは17.7%だが、アメリカはなんと60.4%。つまりアメリカ抜きでのTPP発効は不可能だ。安倍首相は年末に行ったオバマ米大統領との最後の会談でも、「自由貿易を後退させてはならないとの考えで次期政権にも働き掛けていく」と説明。1月20日のトランプ氏の言動が注目される。

 安い外国産が入ってくることによる農家の不安は根強い。政府もその懸念を払しょくするためにさまざまな対案を設けている。たとえばコメに関してはコアメリカとオーストラリア産の7万8000トン分の無関税枠を新設する代わりに、同量の国内産を政府が備蓄用に買い入れる。しかし既に余剰米の問題は深刻だ。現在も米穀安定供給確保支援機構が数年に1度のペースで余ったコメを買取ることによる市況対策を行っている。そのような中で政府の買取り策が有効であるかは疑問が残る。

 となれば、コメ余りの中で米価を維持するために必要なのは供給量の削減ということになるだろう。自民党が政権に返り咲いてから「減反」というワードも再浮上している。主な手段はコメ以外の農産物に転換する転作奨励金。特に飼料用米への転作助成金は10アールあたり最大10万5000円と高額だ。政府の17年度予算案でも稲作から高収益作物への転換を促す水田の畑地化推進に1034億円が計上されており、コメの転作を促す水田活用の直接支払交付金も3150億円に増額されている。

 一方で、主食用米への交付金制度は「諸外国との生産条件格差から生じる不利はなく、構造改革にそぐわない」として17年産で終了させる予定だ。これは民主党政権の10年に始まった戸別所得補償制度に代わるものだったが、補助金である実態はあまり変わらなかった。今回の制度廃止で浮いた財源は、空いた水田をフル活用させる予算として確保するとしている。しかしコメ価格は長らく高止まりが続いており、仮に輸出が拡大しても海外産と対等に渡り合えるかは不透明だ。

 価格の調整が難しいのであれば、他の面から生産性を上げるしかない。たとえば資材価格の低減など生産コストの削減などがあげられる。それを実行しようとしているのが、小泉進次郎自民党農林部会長が取りまとめている農業改革だ。「資材を安く買うための農協なのに、どうして農家は高い資材を購入しなければならないのか」といった農協のタブーに切り込み、官民両方に波紋を広げた。16年11月にはプロジェクトチームが最終案の「農業競争力強化プログラム」をまとめ、肥料や農薬などの生産資材の価格を国際水準まで引下げることや生乳の出荷先を生産者が自由に選べるように制度を改めることなどが盛り込まれた。

 その後、政府の規制改革推進会議は、全国農業協同組合連合会(JA全農)の改革を実現する期限を19年5月とする見解で一致した。17年は改革の準備段階、助走期間になるだろう。巨大な票田でもあった農協と政府がどのように交渉を進めていくのか、注目していきたい。(編集担当:久保田雄城)

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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

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