オバマ大統領、ロシアからのサイバー攻撃に対し報復すると宣言

2016年12月17日 18:36

印刷

 しばらく前から、アメリカとロシアの関係において、一つの疑惑が囁かれていた。ロシアが、国家ぐるみで、トランプ候補の大統領当選を有利にするために、アメリカに対してサイバー攻撃を仕掛けたのではないか、というものだ。その真偽は定かではない。だが、アメリカ中央情報局(CIA)、並びに連邦捜査局(FBI)はこれを支持する見解を示した。そして16日、オバマ大統領が公式会見の場で、ロシアからのサイバーテロ攻撃には「プーチン大統領自身が関与」しており、これに対して「報復措置を取る」と宣言、波紋を広げている。

 ロシア政府とウラジーミル・プーチン大統領は、関与を否定している。また、トランプ次期米大統領はこの疑惑に対し「不快感」を示している。
 
 ここで、サイバー攻撃、というものについて解説しよう。サイバー攻撃、またはサイバーテロというのは、コンピュータネットワークを介し、ウィルスをばら撒いたり、情報を盗み出したり、また稀な例ではあるが何らかの機器を遠隔操作して破壊したりといったような、現代において現れた新しい形の犯罪である。今回は、具体的に何をどうやったのかは判然としないが、ロシアが米民主党のコンピュータに侵入、トランプ候補が選挙戦において有利になるような工作を行ったのだという。

 国家間でのサイバー攻撃というのも近年ではよく話題になる。特に中国が大規模に行っているという疑いがあり、アメリカを含めた諸外国との間で国際問題になっている。

 オバマ大統領は「残った任期を挙げてこの疑惑を解明する」としているが、その残った任期というのは、もうあと一ヶ月余りしかない(2017年1月20日まで)。この残った任期の間に、この問題は何かさらに大きな事態を引き起こすことになるだろうか?それとも、何事もなくトランプ氏が次期大統領に就任し、ロシアとの関係を改善して事態を収束するだろうか?状況は予断を許さない。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

関連記事