三菱商事、ウズベキスタンの火力発電所新規建設工事を受注

2016年11月21日 17:53

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トゥラクルガン火力発電所の建設予定地。(出典: 国際協力機構(JICA))

トゥラクルガン火力発電所の建設予定地。(出典: 国際協力機構(JICA))[写真拡大]

 三菱商事と三菱日立パワーシステムズは、ウズベキスタンのトゥラクルガン地区で計画されていた火力発電所の新規建設工事を、フルターンキー(全業務請負)契約で受注した。完工は2020年の予定で、三菱がウズベキスタンで発電所の建設を請け負うのは今年10月のナヴォイ地区の火力発電所に引き続いて2件目。

 発電の方式は、ナヴォイのものと同じくコンバインドサイクル型ガスタービン火力発電が採用される。同方式は火力発電としては最新式のものであり、旧来のものよりも同量の資源から取り出すエネルギーの効率が良く、さらにCO2排出量も低減することが可能だ。

 ウズベキスタンは中央アジアの内陸部に位置する旧ソ連共和国の一つで、人口約3,000万人、面積は日本の約1.2倍。GDPは660.0億ドル、一人当たり2,129.5ドルで、経済成長率は6.8%(いずれも2015年)。近年世界的にも経済発展の著しい国の一つとされる。

 天然ガス・石油を豊富に産出する資源国で、電源構成の約9割を火力発電所が占めているが、既存の発電所は国内需要を満たすに足りない上老朽化が著しく、また形式が古い為環境負荷が高かった。そこでかねてより発電設備の改修、新規発電所の建設が急務とされ、国際協力機構(JICA)は2014年11月、政府開発援助による718億3,900万円の借款に調印している。トゥラクルガン発電所の建設資金はこの借款と、ウズベキスタン政府により拠出される。

 トゥラクルガン発電所の予定出力は90万kW、ナヴォイ発電所と合わせると合計出力は135万kWとなり、これは現在のウズベキスタンの発電設備容量の約10%に相当する。

 ウズベキスタンの宗教は主にイスラム教スンニ派であるが、比較的欧米諸国に向けて開かれた国として知られ、現在は軍事・外交面で主にロシアと親しい。過去にはイスラム原理主義過激派組織も存在したが、現在その活動はなりを潜めており、テロ等の事件はほとんどない。

 英国外務省が作成したテロの危険度マップ(4段階評価)では、ウズベキスタンはオーストリア、フィンランドなどと並んで安全な方から2番目であり、イタリアやドイツよりも安全とされる。日本の外務省が作成している渡航危険度情報(問題なしとする0から退避勧告の4までの5段階評価)ではレベル1となっている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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