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15年に全国で設立された「農事組合法人」は750社で2009年以降最多に
東京商工リサーチによると、2015年(1‐12月)に全国で設立された「農事組合法人」は750社(前年比70.8%増)で、調査を始めた2009年以降で最多を記録した。[写真拡大]
東京商工リサーチによると、2015年(1‐12月)に全国で設立された「農事組合法人」は750社(前年比70.8%増)で、調査を始めた2009年以降で最多を記録した。2015年に全国で新設された全法人(新設法人)は12万4,996社(前年比4.5%増)と伸びが鈍化しており、農事組合法人の伸びの大きさが際立つ格好となった。
農事組合法人は、農業に関する共同利用施設の設置や農作業の共同化などを手掛け、発起人、組合員とも農業従事者が条件だが、設立手続きは他の法人格より容易で諸経費も低いメリットがある。
政府は、2016年6月2日に閣議決定した「日本再興戦略2016」で、農業分野の法人経営体数を2023年までに2010年(1万2,511法人)の約4倍の5万法人に増やす目標を掲げた。だが、2015年の法人数は1万8,857法人で、目標の達成はかなり難しい状況だという。
目標達成には株式会社の農業参入や法人格のない任意組合が多い集落営農の法人化などに加え、農事分野へ労働力の移動を促す支援策の更なる拡充も必要だろうとしている。
2015年の農事組合法人の新設数は750社で、前年より70.8%(311社)増加した。2014年の新設法人数は439社(前年比1.1%減)と落ち込んだが、2015年は再び大幅に増加した。
新設法人に占める農事組合法人の構成比は0.6%で、2011年の0.3%からわずかに上昇した。他の法人格の構成比では、株式会社が79.9%から71.8%へ減少、合同会社は8.8%から17.6%へ大幅に伸長した。
都道府県別の農事組合法人の新設数は、トップが富山県の73社(前年比180.8%増、構成比9.7%)。前年の26社から2.8倍増と急増した。次いで、福岡県44社(同46.7%増、同5.8%)、岩手県43社(同115.0%増、同5.7%)、滋賀県43社(同19.4%増、同5.7%)、佐賀県40社(同1233.3%増、同5.3%)と続く。
法人格別の新設数では、株式会社が8万9,756社(構成比71.8%)で全体の7割を占めた。次いで、合同会社が2万2,053社(同17.6%)、一般社団法人が5,557社(同4.4%)、特定非営利活動法人(NPO法人)が2,540社(同2.0%)、医療法人が1,416社(同1.1%)と続く。農事組合法人は750社(同0.6%)で新設数では第6位だが、前年(2014年)からの増加率は70.8%増(311社増)でトップだった。
2015年に設立された農事組合法人は750社(前年比70.8%増)だった。政府は地方の基幹産業である農業の成長産業化を推し進めている。2018年4月のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)発効を控え、農林水産省は農業経済力向上支援事業などを通じ、TPPで出現する人口8億人の巨大経済圏に食い込む「攻めの農林水産業」への転換を促している。
法人数の増加は、農事組合法人の新設以外に株式会社での農業分野への参入など様々な形態が想定されている。しかし、税制面での優遇措置のほか、集落営農や複数個別経営の法人化に最大40万円の補助金の支給など、手厚い支援策を用意している農事組合法人の新設数が現状程度で推移するようでは、5万法人への到達は非常に高いハードルだとしている。(編集担当:慶尾六郎)
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