来週の相場で注目すべき3つのポイント:日米金融政策、原油動向、甘利大臣問題

2016年1月23日 20:18

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記事提供元:フィスコ


*20:18JST 来週の相場で注目すべき3つのポイント:日米金融政策、原油動向、甘利大臣問題
■株式相場見通し

予想レンジ:上限17800-下限16600円

来週は目先戻り意識も、日米金融政策や原油動向、甘利大臣の疑惑問題に関心が集まろう。日欧の金融緩和期待と原油相場の底入れ感から、ショートカバーが強まっている需給状況。22日の米国市場もこの流れを受けてNYダウは16000ドルを回復している。週明けの日本株市場はこの流れを引き継ぎ、自律反発の流れが続きそうだ。

ただし、今週の金融政策決定会合での追加緩和を予想する向きはなく、早くとも4月との見方がコンセンサスとみられる。ETF(指数連動型上場投資信託)の買い入れ増額への期待は大きく、期待が膨らむ一方でハシゴを外された時の不安も大きいだろう。

また、甘利経済再生担当相は金銭疑惑問題について、1週間以内に事実関係を明らかにしたいと述べている。与党内からも進退論が浮上していることもあり、週末にかけての不安要因になろう。甘利大臣といえば「13年3月末に13000円」、「株価が14800円の壁を突破できず資産効果が止まっている」発言など、市場関係者の間では、“甘利越え”といったフレーズでマーケットにインパクトを与えてきた。辞任ともなればアベノミクスへの期待感も後退する可能性があり、政治不安から海外勢による売り圧力が警戒されやすい。再び甘利節でインパクトを与えてもらいたいところである。

トレンド転換としては、中国が中東問題に積極的に関与する方針が伝えられる中、原油価格の底入れを見極めたいところである。先週末には1バレル32ドル台を回復してきている。イランは欧州連合(EU)向け原油輸出を早ければ2月にも再開する準備を進めており、先安感は根強い。一方で、中国はイラン最大の石油輸出市場となる。原油相場が明確な底打ちシグナルを発生させてくると、ようやくリバウンド機運が高まろう。

日米ともに主要企業の決算発表が本格化する。米国ではアップルやフェイスブック、アリババなどが予定されている。国内ではソニー、ホンダやメガバンク、大手証券などが予定されている。アップルはiPhone最新モデルの減産報道等を受けて下げていたこともあり、決算がアク抜けにつながるかが注目されている。アップルはインドで初の直営店開設に向けて申請中であるほか、VR(仮想現実)分野での開発を進めていることなどが伝えられている。一方で、電気自動車(EV)の開発を主導してきた責任者が退職するとも報じられている。決算がアク抜けとなれば、これらを改めて材料視してくるだろう。

■為替市場見通し

来週のドル・円は、3月の米利上げに向けて市場は手探り状態にあるが、主要国の株式市場が安定し、原油先物が底堅い動きを続けた場合、3月利上げへの期待はやや高まり、ドルは強い動きを見せる可能性がある。また、市場関係者の間では、日本銀行は今回の金融政策決定会合で追加の金融緩和を行うとの思惑が浮上している。22日の主要国の株式相場は総じて上昇したが、株安を招く新たな材料が提供された場合、日銀が適切な行動に出る可能性は残されている。

ただし、日銀の緩和策が資金供給量の総額(年間で約80兆円)を増やすものではなく、ETFの買い入れ額の増額などの量的・質的金融緩和の補完措置にとどまった場合、リスク選好的なドル買いは短期間で終息し、ドルは120円近辺で伸び悩む展開となる可能性もある。

■来週の注目スケジュール

1月25日(月):貿易収支、独IFO景況感指数など
1月26日(火):米連邦公開市場委員会(FOMC)、アップル決算など
1月27日(水):中工業利益、FOMC政策金利、フェイスブック決算など
1月28日(木):金融政策決定会合、アマゾン決算、米新規失業保険申請件数など
1月29日(金):日銀会合結果、米10-12月GDP速報値、決算ピーク第1弾など《TM》

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