「時間結晶」が実現できないことが数学的に証明される

2015年6月23日 19:03

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時間結晶の概念を示す図。リングの中で粒子が回っているとすると、例えば時計の位置における粒子の密度は時間と共に周期的に変化する。このような状態が自発的に生じれば時間結晶の例になるが、今回の研究では、そのようなことが統計力学の原理に従うとありえないことを証明した。(東京大学の発表資料より)

時間結晶の概念を示す図。リングの中で粒子が回っているとすると、例えば時計の位置における粒子の密度は時間と共に周期的に変化する。このような状態が自発的に生じれば時間結晶の例になるが、今回の研究では、そのようなことが統計力学の原理に従うとありえないことを証明した。(東京大学の発表資料より)[写真拡大]

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 カリフォルニア大学バークレー校博士課程の渡辺悠樹大学院生と東京大学の押川正毅教授は、マサチューセッツ工科大学のフランク・ウィルチェック教授が2012年に理論的に提案した「時間結晶(time crystal)」という物質の新しい状態について、実現が不可能であることを数学的に証明した。

 結晶は、一定の条件のもとで、原子の集まりが自発的に空間的なパターンを作り規則正しく並んでいる状態であるが、相対性理論によれば時間と空間は完全に別のものではないため、原子の集まりが時間方向に自発的にパターンを作る可能性も考えられる。

 今回の研究では、統計力学により導かれる安定な物質の状態(平衡状態)で巨視的な物理量の時間相関関数を評価し、厳密な不等式を用いてこれが時間的に振動することはないことを数学的に証明した。これは、統計力学に従う限り、「時間結晶」は実際には存在しないことを意味している。

 渡辺氏と押川教授は、今回の研究成果について、「物理学の基礎の一つの前進であるとともに、私達の住む世界における時間と空間の意味を考える上でも重要な手がかりになる」としている。

 なお、この内容は「Physical Review Letters」に掲載される予定(オンライン版:6月24日、雑誌版6月26日)。論文タイトルは、「Absence of Quantum Time Crystals」。

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