ボノボはチンパンジーより親愛的―アイコンタクトの頻度が高いことが明らかに

2015年6月23日 18:46

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研究に使った顔写真の例と、この写真をチンパンジーとボノボが見た際の注視点の場所を重ね合わせたもの(京都大学の発表資料より)

研究に使った顔写真の例と、この写真をチンパンジーとボノボが見た際の注視点の場所を重ね合わせたもの(京都大学の発表資料より)[写真拡大]

 京都大学の狩野文浩特定助教・平田聡教授らのグループは、ボノボはチンパンジーよりも頻繁にアイ・コンタクトすることを発見した。

 アイ・コンタクトは、ヒトや他の霊長類の社会的生活において、重要な役割を担っている。ボノボとチンパンジーはヒトに進化的に最も近縁な類人猿2種であり、行動・形態ともによく似ている。しかし、性格の面では、ボノボは全体に他者に対して寛容で親愛の情を示すことが多いが、チンパンジーはやや攻撃性が強く競争的な性格を示す。

 今回の研究では、仲間のボノボとチンパンジーの顔写真や全身の写真計90枚をモニタ上に提示し、それを見ているときのチンパンジー計20個体とボノボ14個体の視線の動きを、アイ・トラッカー(視線追従装置)を用いて記録した。

 その結果、ボノボはチンパンジーよりも、写真の目を1.5倍長く見つめることが分かった。ボノボがチンパンジーよりもアイ・コンタクトを頻繁にすることは、ボノボはチンパンジーよりも他者に親愛の情を示すことが多いという仮説を裏づけする証拠であることや、ボノボがチンパンジーよりも親愛的なコミュニケーション全般が得意であるということを示唆している点で重要な意味を持つ。

 研究メンバーは、「ヒトの心の進化を探求するうえで、チンパンジーとボノボの比較が役立つことを証明した研究です。また、本研究は、日本の熊本サンクチュアリに平成25年と平成26年にかけて、6個体のボノボが導入された後に発表される、初めてのボノボの研究論文となります。」とコメントしている。

 なお、この内容は「PLOS ONE」に掲載された。論文タイトルは、「Social Attention in the Two Species of Pan: Bonobos Make More Eye Contact than Chimpanzees」。

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