川内原発1号機、6月起動の意味するところは

2015年3月30日 08:19

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記事提供元:エコノミックニュース

 九州電力<9508>は3月19日、鹿児島県の川内原子力発電所1号機を7月上旬に発電を始め、再稼働をさせる計画を発表した。7月中旬から100%出力で調整運転し、8月中に国の最終試験を受け、営業運転に入るとしている。原子力規制委員会が作成した新規制基準施行後、再稼働の具体的な日数予定が明らかになったのは初めてである。2013年9月以降、日本国内では原発稼働率ゼロの状態が続いていた。川内原発の再開により、原発稼働率ゼロ状態が終了する見通しとなった。機器や設備の性能を現場で確認する使用前検査を30日に開始すると発表し、6月末までには終了するとしている。

 川内原発は、九州電力としては、玄海原子力発電所に次ぐ2ケ所目の原子力発電所である。今回再稼働予定の1号機の営業運転開始日1984年7月4日だ。複数の地震研究者や火山研究者が川内原発の立地が危険であるという見解を示している。たとえば、火山学者小山真人氏は、川内原発の周囲60キロメートル圏内に5つ以上のカルデラを有しており、過去に3度、大規模火砕流が原発に到達しているので、原発立地には全くの不適格。曖昧な基準で審査された非常に危険な原発であるとの見解を示している。また、避難計画に関しても不備が指摘されており、2014年6月に伊藤裕一郎鹿児島県知事が「避難計画は原発から10キロメートルの範囲内で十分。30キロメートルは不可能」と発言し批判を浴びている。そのため専門家からは「事故が起きれば日本で一番危険な原発」と呼ばれている。

 九州電力は、3月26日、新規制基準に基づいた、川内原発1号機建屋の対策工事を初公開した。この際、自身や大津波による全交流電力電源が喪失するという重大事故対応を想定した訓練もおこなった。対策工事の結果としては、使用済み核燃料を保管するプールの水位計をアナログ方式から中央管制室で監視するデジタル方式に更新。また赤外線監視カメラも新たに設置、炉心溶解で発生する水素爆発を防ぐため、原子炉建屋には電気式水素燃料装置、静的触媒式水素再結合装置を新設。中間建屋にて火災防護対策のための耐火壁を設けるなどをしている。対策工事は1号機屋内は終了しているが、屋外の竜巻対策補強工事が残っている。

 九州電力の瓜生道明社長は、川内原発の2号機の再稼働計画について、1号機より1カ月遅れる見通しで進んでおり、5年連続での赤字から、黒字化を狙うとしている。ただ、避難計画を再度検討する必要もあるのではないのだろうか。(編集担当:久保田雄城)

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