ニッピと大阪大、再生医療用iPS細胞の培養足場材製品を発売へ

2015年3月11日 15:40

印刷

ラミニン511はα鎖、β鎖、γ鎖が会合した三量体タンパク質である(ニッピの発表資料より)

ラミニン511はα鎖、β鎖、γ鎖が会合した三量体タンパク質である(ニッピの発表資料より)[写真拡大]

  • 臨床グレードのラミニン511E8フラグメント(商品名:iMatrix-511MG) (ニッピの発表資料より)

 ニッピは10日、大阪大学蛋白質研究所と共同で、再生医療用iPS細胞の培養に適した「ラミニン 511E8 フラグメント」の製造方法を確立したと発表した。また、同社は、生物由来原料基準に適合した製品(商品名:iMatrix-511MG)を6月頃より販売する予定である。

 同製品は、現在販売している研究用途に限られた製品(商品名:iMatrix-511)とは異なり、臨床用途での利用が可能となる。この技術により、移植医療用iPS細胞の製造などiPS細胞を利用した再生医療の研究開発が加速することが期待されるという。

 ニッピは、2013年7月よりラミニン 511E8フラグント(商品名:iMatrix-511)を製造販売している。このラミニン 511E8フラグメントは、大阪大学と京都大学の共同研究にて、ES細胞やiPS細胞の培養用基質として有効であることが報告されたもの。解離させたヒトES細胞やiPS細胞を速やかに培養器に接着させる強力な細胞接着活性をもつため、1カ月で従来比200倍もの効率でこれら細胞を増幅可能だという。

 京都大学iPS細胞研究所では、ラミニン511E8フラグメントを足場材として使うことにより、培養皿1枚で増やしたiPS細胞を一回の継代操作で100枚に増幅できる方法を開発し、公開している。

 今回ニッピと大阪大学の研究グループは、移植用iPS細胞などヒト多能性幹細胞の培養基質として、臨床グレードのラミニン511E8フラグメントの製造方法の研究開発を進め、厚生労働省の薬事審査機関である独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の対面助言を実施した。その結果、同機構より、生物由来原料基準への適合性について「異論なし」と判断された。この判断を受けて、生物由来原料基準に適合した新商品の「iMatrix-511MG」の製造を開始した。発売から5年で10億円の売上げを目指すという。

関連記事