日立と日立化成など、ポーランドのスマートグリッド実証事業に参画

2015年2月23日 18:38

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ポーランドにおけるスマートグリッド実証事業での風力発電に対応したリチウムイオン電池を搭載したハイブリッド蓄電システムの実証イメージ(日立製作所などの発表資料より)

ポーランドにおけるスマートグリッド実証事業での風力発電に対応したリチウムイオン電池を搭載したハイブリッド蓄電システムの実証イメージ(日立製作所などの発表資料より)[写真拡大]

 日立製作所、日立化成株式会社、三井住友銀行、日本総合研究所は23日、新エネルギー・産業技術総合開発機構が「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業」の一環として実施するポーランドにおけるスマートグリッド実証事業に関して、実証前調査の委託先に選定されたと発表した。

 今回の実証事業は、日立製作所が実証研究責任者として全体をとりまとめ、3社とともに実証前調査を今年2月から11月まで行う。その調査結果を踏まえた事業化評価を経て、実証事業を約3年間実施する予定である。

 本実証事業は、日本とポーランドの共同事業となり、ポーランド政府から支援を受けて、現地の企業が参加する。実証前調査において、ポーランドの企業と各実証スコープの確認や実証場所の選定などを行っていく。

 ポーランドでは、EU加盟国として、電力供給に占める再生可能エネルギー比率を2020年までに15%に、2030年までに19%に増加させるという高い目標の下、風力発電の導入を推進している。

 2013年時点における風力発電の設備容量は約3.4GWで、2020年の目標である6.6GWの半分近くに達している。一方、50%以上の電力インフラ設備が、40年以上前に建設されたもので、老朽化が進んでおり、風力発電の大量導入により、さらに電力系統への負荷がかかることからも、更新や増強などの対策を講じる必要がある。

 電力インフラ設備の更新や増強には多大な設備投資が必要であり、経営的な負担となることから、風力発電をはじめとする再生可能エネルギー導入の目標を達成させると同時に、設備投資を抑制しつつ、電力系統の安定化を実現可能な日本の系統安定化技術に関心が高まっている。

 今回の実証事業では、日本の先進的な系統安定化技術に加え、リアルタイムに風力発電の出力を抑制する制御技術や蓄電システムなどを導入することにより、ポーランドにおける再生可能エネルギーの導入拡大と、電力インフラへの設備投資の抑制、電力系統の安定化を同時に実現する系統安定化制御システムの構築を目指す。(記事:宮野 浩・記事一覧を見る

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