全てが拙劣だったスイス中央銀行

2015年1月19日 08:01

印刷

記事提供元:フィスコ


*08:02JST 全てが拙劣だったスイス中央銀行
先週、スイス王立銀行(中央銀行)が突然スイス・フラン/ユーロの上限を撤廃したことで、世界の金融市場は大混乱となった。
 スイス・フランは安全通貨として、ユーロに対して買われやすいという特徴があり、スイス中銀の上限政策はこれに対応したものであったが、もともと為替に人為的なラインを設けて無制限に介入するという政策自体が歴史的にみても「筋の悪い政策」だった。さらに今回の上限撤廃のタイミングも、原油安による混乱やギリシャの総選挙への懸念が高まっている中で行われたもので、最悪のタイミングとなった。
 上限撤廃後の理由の説明も明確とは言い難く、22日の欧州中央銀行(ECB)による量的緩和実施(予想)や今週末のギリシャ選挙による混乱でユーロが下落し、介入によるユーロ買いで膨らんだスイス中銀のバランスシートが毀損するという恐怖心に突き動かされた唐突なものという印象を拭えない。
 スイス中銀はつい先日まで上限政策を主要な為替政策と主張していたのにもかかわらず、1周間もたたないうちに手のひらを返すようでは、市場との対話も何もあったものではなく、定見と信用に欠けるとの誹りは免れないだろう。このような重要政策の変更は、本来なら時間と手間をかけて説明し、市場に織り込ませて行くべきものだ。イベントの直前に恐怖心から一気に放棄に走るようでは三流トレーダーと変わらない。
 今回の唐突な行動によってスイス・フラン/ユーロは一時値がつかなくなるほど暴騰し、スイス中銀が避けようとした損失以上に一気に損失が拡大した感がある。スイスの株式市場は暴落、スイス・フラン高によるスイス国内産業の行方も懸念されることとなった。
 金融立国を標榜するスイスの中央銀行にしては一連の決定及び市場との対話は全て拙劣という他なく、自らの信用を損ね、スイス国民のみならず世界に損失をバラ撒いたといえよう。《YU》

関連記事