京大、スーパーコンピュータ「京」で連星中性子星の磁場増幅機構を明らかに

2014年9月10日 18:56

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磁力線(白色線)、磁場強度(左上:水色)、密度等値面(右上、左下図:黄色、濃い青、薄い青)を示す図(京都大学の発表資料より)

磁力線(白色線)、磁場強度(左上:水色)、密度等値面(右上、左下図:黄色、濃い青、薄い青)を示す図(京都大学の発表資料より)[写真拡大]

 京都大学の木内建太郎特任助教らによる研究グループは、スーパーコンピュータ「京」を用いた数値シミュレーションによって、連星中性子星の磁場増幅機構を明らかにした。

 2つの中性子星からできる連星中性子星は、ガンマバーストと呼ばれる宇宙最大規模の爆発現象を起こし、鉄よりも思い元素を合成する候補としても注目されている。また、連星中性子星は重力波を発生させるため、直接観測できた場合、強い重力場における一般相対性理論が検証できると考えられている。

 今回の研究では、スーパーコンピュータ「京」を用いて連星中性子星合体の数値的相対論-磁気流体シミュレーションを世界最高の空間解像度で実施した。その結果、2つの磁気流体不安定性によりブラックホールの形成前に磁場が増幅されることが明らかになった。

 研究メンバーは「本研究では合体過程で磁場が有意に増幅することが示されましたが、最終的にどの程度まで増幅されるかは今後の課題です。さらに、合体により形成されるブラックホール-降着円盤がガンマ線バーストを駆動するのかどうかを突き詰める必要があります」とコメントしている。

 なお、この内容は「Physical Review D」に掲載された。

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