【コラム 山口亮】取締役には小保方晴子氏や塩村あやか都議を選任すべし

2014年8月22日 16:11

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記事提供元:さくらフィナンシャルニュース

【8月22日、さくらフィナンシャルニュース=東京】

■アメリカ株インデックスのリターンは歴史的にみて、高度成長期の不動産並みに高い

 日本の日経平均のインデックスのリターンは低い一方、米国の資本市場は、明らかに効率的だ。S&P500インデックスに1990年9月1日に投資をし、2014年6月30日まで保有すると、年率リターン10.13%になる。

 もし10万ドル(1ドル100円で計算して1000万円)を1990年9月1日にS&Pインデックスに投資したら、約989万ドル(1ドル100円換算で約9890万円)に増加していただろう。

 日経平均に投資した場合、どんなに都合のいい取得時期を選んでも、せいぜい2倍が関の山だ。1990年に取得して、2014年現在まで持っていると、リターンは逆にマイナスになる。

 米国株が、変動はありつつも、高いリターンを出してきたことの証左である。日本の高度成長期の不動産も、実は、似たようなリターンだったのではないだろうか。目をつぶっていても、価値が上がっていく資産に合理的に投資したいと誰もが考えるはずだ。

 しかし、日本の時価総額が上位にくる大企業の株価パフォーマンスは、決してパフォーマンスが良いとは言えない。日本株のインデックスに投資するよりも、アメリカ株などに投資していた方が、明らかに良いのだ。

 日経平均は同期間で下がっているし、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)をはじめ、我が国の年金資産は日本株に相当な割合を配分されている。つまり年金運用という観点でも、日本の大企業の企業統治は変更を迫られているのだ。

■日本の平均的な社外取締役は役立たず

 米国株とのパフォーマンスの違いを見れば明らかだが、日本の上場企業における株式統治の最大の問題点は、時価総額が上位の上場企業でも企業経営は、極めて非効率なことだ。これは、日本で社外取締役が導入された後も、変わらない。乱暴な言い方をすれば、これまで、日本の社外取締役は、「一株当たりの株式価値の増加」という観点からは、全く意味をなしていなかった。報酬を出している分、株式価値にネガティブな影響すら与えていたのが実態だろう。

 米国企業と比較してみると、どんなに非効率な経営をしていても、とりあえず倒産しない程度に収益を出している会社については、「経営判断の原則」で守られている社外取締役や経営陣が、代表訴訟の対象にはなることはない。

 現状維持的経営をしていれば、経営陣はクビになることはない。すると、経営に口を出して、実質的な人事権を持っている経営陣や他の社外取締役に嫌われ、自らの「社外取締役の席」が危うくなると思えば、社外取締役が経営陣に本質的な経営の改善を迫ることはありえないだろう。

 つまり、弁護士出身や霞が関で高い地位を経た後で天下る社外役員を増やすことは何の解決にもならない。

 弁護士出身の社外取締役は、経営や内部統制が適法かどうかの判断はかろうじてできるだろう。また、委員会設置会社の「監査委員会」の委員としては重要な役割を果たすが、「以下に一株当たりの企業価値を上げることができるか」という意味では、有効な助言ができるか大いに疑問だ。

■議決権行使助言会社の助言内容を鵜呑みにすることも問題

 たとえば経済産業省事務次官を務めた児玉幸治氏は、80歳になった現在でも、HOYA(社外取締役)や東京ドーム(社外監査役)で天下り的な社外役員を務めているが、同氏が役職についているあいだ、ペンタックス買収で企業価値が大きく毀損されたこともあれば、東京ドームシティアトラクションズ内にあったジェットコースター「スピニングコースター舞姫」から男性が転落するなどの事故や指切断事故などが起こっている。なお、旭化成は、今年の総会で児玉氏を社外取締役からは退任させた。

 このような役員は、質的なスクリーニングをすれば、再任候補として不適切だと判断するのが妥当だが、「独立性がある」などの理由で機械的に賛成票を投じるよう推奨するISS(インスティチューショナル・シェアホルダー・サービシズ)などの議決権行使助言会社の推奨行動や、それを鵜呑みにして議決権行使を行う機関投資家も問題だ。

 実際に議決権行使助言会社には、個別の会社の事情を理解して、推奨を行っていける人材や人員数がそろっていないことは、議決権行使の現場ではすでに常識である。

■現状に満足している社外取締役に、企業経営に変革を促す効果は望めない

 日本の大きな上場企業の非効率な経営に対する解決策は難しい課題だが、一定のROE(Return on Equity、株主資本利益率)を下回る経営を継続している会社については、取締役選任議案に反対票を投じるといった方法も可能だ。ただし、それぞれの企業には特殊な事情があるので、先ずは「スチュワートシップコード」の考え方に従って、投資家と株主の間でのコミュニケーションを行わせるべきだろう。安倍政権の成果として評価するのは、その範囲においてではないか。

 また、効率の低い経営をして放置している会社の社外取締役に、株主が、積極的に反対票を投じていくことにも、意味がある。

 このように論理的に考えると、現状になんら不満がない社外取締役よりも、一つ目立つ業績を残して次につなげようとするインセンティブを持ちうるであろう人物を、社外役員に登用した方が、株主の利益にはつながりやすい。

 社外取締役は、実質的に経営者が選ぶので、彼らが経営陣に反旗を翻すことは考えにくい。経営陣から独立した筆頭株主に、社外取締役候補を実質1名指名できるようにする権利を付与する、コーポレートガバナンス・コードの導入も考えてみたらどうだろう。

■成功と失敗は隣り合わせ

 社外取締役を何社も掛け持ちしている河野栄子氏や内永ゆかこ氏のような女性は、現状維持派にしか見えないので、これ以上、社外取締役にするのは、やめた方がいい。実際に、河野氏や内永氏を社外役員にしている会社の業績はぱっとしない。

 投資家から見ると、こうした女性役員が登用され始めたら、その会社の株は「売り」ということだ。事の是非は別として将来何かやってのし上がってやろうという野心を持つ、塩村あやか都議や小保方晴子氏のような若い女性の方が、大企業の新たな社外取締役候補として適当だと筆者は考える。

 もちろん会社が「崩壊」する危険性も孕んでいるが、日本の大企業には適度なリスクを経営陣にとっていかせることの必要性がある。成功と失敗は常に隣り合わせなのである。【了】

 やまぐち・りょう/経済コラムニスト
 1976年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業後、現在、某投資会社でファンドマネージャー兼起業家として活躍中。さくらフィナンシャルニュースのコラムニスト。年間100万円以上を書籍代に消費するほど、読書が趣味。

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