ウクライナ情勢を巡る4つのシナリオ~軍事衝突は“最悪の事態”

2014年3月14日 18:39

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記事提供元:フィスコ


*18:39JST ウクライナ情勢を巡る4つのシナリオ~軍事衝突は“最悪の事態”
<はじめに>
ウクライナ情勢の緊迫度が再び高まっている。2月27日には親欧米の暫定政権が発足したが、ロシアでは3月1日に議会上院がウクライナへの軍事介入を承認し、ウクライナ南部のクリミア自治共和国を支配下に置いた。

ロシアの一連の行動を米国政府は非難し、ロシア政府関係者の渡航禁止や資産凍結などの制裁措置を発動した。米国の動きに同調して、欧州連合(EU)は段階的制裁を決議した。

ロシアは欧米諸国への報復措置も辞さない構えを見せており、こうした緊張状態が続く中で16日にはクリミアでロシア編入を問う住民投票が実施される。

ここでは、ウクライナ情勢の進展について、いくつかのシナリオを用意し、経済・金融
に与える影響を予測する。

シナリオ1:クリミアの住民投票で過半数がロシア編入に賛成した場合
現時点では住民投票を経てクリミアのロシア編入が決定される可能性が高い。欧米諸国は「住民投票は違法であり、効力はない」と指摘しているが、住民投票の結果を受けて欧米諸国とロシアが武力衝突する可能性は極めて低いと予想する。

ロシアに対して何らかの経済制裁措置が講じられる可能性があるが、ロシア側も欧州向けの天然ガス供給を停止するなどの対抗策を講じる可能性がある。欧州、ロシアの双方は経済的ダメージを受けることになるが、金融市場は欧州経済に与える影響をより懸念する可能性がある。
<市場反応>
為替:ユーロ安・米ドル高に動く可能性
債券:ユーロ圏や新興諸国から米国債市場に投資資金がシフトする可能性
株式:欧州株に対する懐疑的な見方が強まり、投資資金は北米地域に向かう可能性

シナリオ2:クリミアの住民投票で過半数がロシア編入に反対した場合
可能性は低いとみられるが、住民投票でクリミアのロシア編入が否決された場合でも、ロシアがただちに軍事行動を起こして武力行使によるクリミア編入を強行する可能性は低いと予想される。この場合、ロシアに対して何らかの経済制裁措置がすみやかに講じられる可能性は低いと思われるが、ロシアと欧米諸国の対立が短期間で解消される保証はなく、経済・金融市場における不確実性の低下は期待できない。
<市場反応>
為替:リスク回避的な取引が増える可能性。ドル・円はもみあい、ユーロ・円は円高に
債券:ユーロ圏や新興諸国から米国債市場への資金シフトが加速する可能性
株式:欧州株は弱含み、米国株は下げ渋りか


シナリオ3:経済封鎖によるロシアの孤立
オバマ政権は、ロシアを孤立させる姿勢を見せているが、ロシアが経済的に孤立しても米国への経済的なダメージは少ないことが強硬姿勢を可能にしている。

ただし、ロシアと隣接している欧州諸国は、エネルギー供給などの経済的つながりが強いため、米国のロシア制裁を全面的に支持する可能性は低い。それが実現した場合、ロシアは保有する米国債を売却することを示唆している。

米国債の大量売却が実施された場合、米国の債券・株式相場は大きく下落する可能性がある。この動きは世界中に波及することになり日本でも株安・債券安となる可能性があり、日本経済に与える影響はかなり大きくなる。
<市場反応>
為替:ドル安・円高の進行、クロス円レートは円高方向に動く可能性
債券:米国債利回りが大幅に上昇した場合、各国の債券利回りも連れて上昇へ
株式:主要国の長期金利の上昇を嫌気して世界同時株安の展開


シナリオ4:ロシアと欧米諸国の軍事衝突
双方とも軍事衝突に発展することを避けるため、それなりの対応を見せている。一部ではロシアのセバストポリ軍港の租借期限を維持し、ロシア系住民の差別をなくすことを暫定政権が保証する代わりにロシア軍が撤退するという妥協案が想定されている。

ロシアと欧米諸国の軍事衝突は双方に得るものがなく、各国の経済を疲弊させるだけの結果に終わることになるので、最悪の事態に発展する可能性は極めて低い。ただし、ゼロではないため、軍事衝突を想定していない金融市場はひどく混乱し、世界経済にも重大な影響を与える可能性がある。
<市場反応>
為替:ドルが買われやすくなる可能性
債券:米国債利回りが大幅に上昇した場合、各国の債券利回りも連れて上昇へ
株式:主要国の長期金利の上昇を嫌気して、世界同時株安の展開《RS》

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