“敵の敵はトモダチ” 日印関係強化の背景をインドメディアはどう報じたか?

2014年1月27日 22:21

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記事提供元:NewSphere

 インド訪問中の安倍首相は25日、シン首相と会談した。両首相は、双方が「自由、民主主義、法の支配」に基づくグローバル・パートナーシップを約束し、それが「戦略的環境の変化」の中で平和と安定の維持の一助になると述べた。

 また、日本の救難飛行艇US-2の輸出に向けた合同作業部会の継続、インドの地下鉄整備向けに約2000億円の円借款を供与する方針などを確認。原子力協定をめぐっては、早期妥結に向け双方が努力することで合意した。

 安倍首相は26日、インドの「共和国記念日」の式典に主賓として参加し、軍事パレードを観閲。27日に帰国する。

【存在感を増す中国に対する共通懸念が、日印の緊密な連携の原動力】

 中国はインドとも領有権問題を抱え、東シナ海と南シナ海だけでなく、インド洋海域でも存在感を高めている。

 タイムズ・オブ・インディアは、中国によるインド北東部の武装勢力への武器調達を当局が長く追跡中であり、中国は重大な安全保障上の脅威だと報じている。そのうえで、同地域にインフラ建設のため日本を招くことは、インドにとって重要な政治的声明だと報じた。

 一方、日印連携が過去の重荷に圧迫されなかったことはアメリカ政府にとって驚きだとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。第二次世界大戦中、インドが大英帝国の植民地だったとき、多くのインド軍は同盟国側で戦った。それでも日本は日本軍の敵だったインドを支援する一方、日韓関係は対照的だと報じた。

【原子力協定で合意すれば、日系企業のインド市場参入が可能に】

 インドへの原発輸出を可能にする原子力協定で合意が成立すれば、日系企業のインド市場参入が可能になるとロイターは報じた。

 中国政府はパキスタンやスリランカの港湾建設に資金を提供し、同地域での存在感を増している。安倍首相の訪問は、中国が投資していない地域で2国間連携の範囲を劇的に拡大したとタイムズ・オブ・インディアは報じた。

 日本企業もチェンナイに新港を開発する支援のため招かれた。チェンナイ新港開発は南部・西部インドの工業地帯と東南アジアをつなげることに役立つ。さらに日本がチェンナイ・バンガロール間産業大動脈構想に投資すれば、チェンナイから簡単にアクセスでき、現在中国が支配するネットワークに代わるアジアの供給プロセスネットワーク建設に役立つと同紙は報じた。

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