翻訳センターの東郁男社長に展望を聞く

2013年7月10日 15:42

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

翻訳センター<2483>(JQS・売買単位100株)は、大阪・道修町で製薬会社の「翻訳」を手がけたことに始まり1986年の設立からまもなく30年を迎える。

翻訳センター<2483>(JQS・売買単位100株)は、大阪・道修町で製薬会社の「翻訳」を手がけたことに始まり1986年の設立からまもなく30年を迎える。[写真拡大]

■「医薬」、「工業」、「特許」、「金融」の専門性の高い4分野に特化し翻訳サービスのリーディングカンパニー

 翻訳センター<2483>(JQS・売買単位100株)は、大阪・道修町で製薬会社の「翻訳」を手がけたことに始まり1986年の設立からまもなく30年を迎える。現在、翻訳については、「医薬」、「工業」、「特許」、「金融」の専門性の高い4分野に特化、さらに昨年秋、「通訳・派遣・国際会議運営」の会社をグループ化し事業領域を拡大、『すべての企業を世界につなぐ 言葉のコンシェルジュ』という経営ビジョンを掲げて取組んでいる。2015年年3月期に売上100億円、また世界の語学サービスにおいてトップ10入りを目指している。同社の東郁男社長に展望を聞いた。

■通訳・国際会議等の会社を子会社化で事業領域を拡大、2015年3月期に売上100億円、営業利益7億円へ

――今年3月期の売上は31.2%の大きい伸長でしたが、今期(2014年3月期)も21.0%増の88億円と好調な見通しを立てていらっしゃいます。売上100億円の達成は早そうですね。

 【東社長】 そうですね、売上100億円に手の届くところまで来ました。本来、景気に左右され難い事業で増収基調をキープしていましたが、さすがにリーマンショックの影響を受けて2010年3月期には1期間だけ減収となりました。しかし、それ以降は増収基調に戻っています。昨年9月に子会社化した「ISSグループ」とのシナジーを発揮し、2015年3月期までの3ヵ年を対象とする第二次中期経営計画で売上100億円を掲げています。

 1986年に大阪・道修町で設立してほぼ30年の節目に当たる2015年に売上100億円達成ということで、いっそうの飛躍に弾みをつけたいと思っています。前期の営業利益は大阪本社移転に伴う一時的費用の発生と、中期成長のための積極的な人材確保による費用で3.9%の小幅減益となりましたが、今期の営業利益は11.1%増益の4億7000万円の見通しです。2015年3月期の売上100億円に対する営業利益は7億円の見通しです。

――3ヵ年計画の取組の内容はどのようなことでしょうか。

 【東社長】 『すべての企業を世界につなぐ 言葉のコンシェルジュ』という経営ビジョンを掲げて取組んでいます。とくに、経済のグローバル化に伴い、あらゆる産業分野において翻訳サービスの重要度は増しています。当社は設立時の医薬、工業分野を足がかりに特許、金融法務の分野へ事業領域を拡大し専門性を確立することで翻訳サービスにおけるリーディングカンパニーの地位を築いていますが、翻訳だけに留まらず、言葉に関する多様なニーズに対応できるよう事業領域を拡大し発展を期しています。

――専門分野ということですが、どのような分野ですか、もう少し詳しくお願いします。

 【東社長】 翻訳事業では、『特許』、『医薬』、『工業』、『金融』の4分野に特化しています。売上構成比率では『特許』、『医薬』、『工業』がそれぞれ30%程度で『金融』は8%程度です。設立当時、製薬会社の翻訳を手がけたことが専門領域へ展開の土台となっていますが、その『医薬分野』で紹介しますと、新薬開発初期段階の創薬から非臨床、臨床、市販後調査レポート、マーケティング資料、MR教育資料等の翻訳を行っています。循環器系、神経系、呼吸器系、免疫、眼科、整形外科、歯科など幅広い領域での翻訳実績があります。『工業分野』では自動車、電機、精密機械、環境、エネルギー、IT、通信、建設等の多岐にわたる領域における「仕様書」、「取扱説明書」等の技術資料やビジネス文書の翻訳まで幅広く対応しています。『特許』についても知的財産に対する認識の高まりからグローバル化でますます重要となっています。

――グローバル時代ということで言語の領域も広がっているのでしょうね。翻訳ではどのくらいの言語数を扱っているのですか。

 【東社長】 英語と日本語間の翻訳だけでなく、英語からその他のドイツ語、フランス語などのヨーロッパ言語や中国語などのアジア言語などにも対応しています。なかには複数の言語を使う国もあり、そうしたものも含めると取扱言語数は70言語くらいになります。ただ、売上割合としては英語が約80%を占めもっとも多く、次いで中国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語という順番です。昨今は先進国中心からアジア、中近東、アフリカなどにも領域が広がっています。

――御社の得意とされている4分野(特許・医薬・工業・金融)も含めて翻訳のマーケットはどのくらいですか。

 【東社長】 上場企業は当社のみ、しかも、1人だけでも始めることのできるビジネスですから、正確な実態は掴み難いのですが、翻訳ビジネスの市場規模は約2000億円程度だと思われます。2000億円の内訳では「医薬・バイオ」が9%程度、「特許」が15%程度、「金融・法務」が18%程度、「科学・工業技術」が22%程度、「コンピュータ・IT」で34%程度です。この中で当社はこれまで「コンピュータ・IT」をそれほど手がけて来なかったため、前期に専門部署を設立し「コンピュータ・IT」のローカライゼーション事業に本格参入しています。

――1人でもできるということですが、後継者の問題も予想されますが。

 【東社長】 1960~70年頃、当時は国際化ということで翻訳を手がける事業者や個人が増えました。それから約50年が経ち経営者の高齢化により事業承継の課題もでてきているようです。一方、大手顧客からの翻訳はボリュームが大きく、しかもスピードも求められるようになっていますから、翻訳会社側の体制強化が求められるようになっています。

■世界の語学サービスにおいてトップ10入りを目指す

――締めくくりに、ISSグループを子会社化された狙いと、今後の展望をお願いします。

 【東社長】 ISSグループは「通訳」、「派遣」、「国際会議企画・運営」、「通訳者・翻訳者育成」などを手がけています。当社の「翻訳」は技術関連部署との取引が多いのに対し、ISSグルーは管理関連部署が中心です。今回の子会社化によって双方の顧客への共同営業とクロスセールスを展開し、顧客企業内の部署拡販と売上拡大を図ります。

 ISSグループの株式取得によりのれんが発生していますが、償却が終了する2018年3月期には利益が大きく伸びると考えています。

 なお、6月に横浜で開催された「第5回アフリカ開発会議」はISSグループが総合運営を担当しました。今後、翻訳に通訳、国際会議企画・運営等が加わって言葉に関する事業領域を拡大させ、世界の語学サービス会社のトップ10入りを目指しています。

――有難うございました。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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