米量的緩和縮小でブラジルが大出血、不満はサッカーや教育にも

2013年6月21日 09:03

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記事提供元:フィスコ


*09:03JST 米量的緩和縮小でブラジルが大出血、不満はサッカーや教育にも
米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が19日、資産購入ペースを年後半にも減速させる可能性に言及したのを受け、金融市場は荒れに荒れました。これまでの米量的緩和で膨張した資金の主な受け皿だった新興国市場では資本引き揚げが急展開しており、香港や韓国、台湾、インドなどエマージング市場は株式、為替、債券のトリプル安に見舞われています。

調査会社EPFRグローバルによると、今月12日までの3週間に新興国市場から流出した金額は190億ドルに達し、2011年以来の大きな金額になりました。バーナンキ発言以前から外国人の資本引き揚げが加速していたことが示された数字ですが、きのう20日の金融市場をみると、この流れが急加速したことが容易に推測できます。

EPFRの調査では、特にブラジルが大出血を被っており、同国株式市場からは56億ドルの資本が逃避しました。ブラジルといえば、現在開催されているサッカーのコンフェデレーションズカップですが、日本は残念ながら1次リーグ敗退となりました。

ブラジルでは来年にワールドカップ開催を控えていますが、最近はこれに反発するデモが激しさを増し、20年ぶりという大規模な集会に発展しました。デモの直接のきっかけはサンパウロ州などでの公共運賃の値上げに反対する動き。これが転じて「サッカー大会に国費を無駄遣いするな!」との意見に発展しました。

怒りは学校教育にも波及し、デモ参加者の中には「国際サッカー連盟(FIFA)の基準に則った学校が欲しい」との要求も出ました。サッカースタジアムの建設にはFIFAの厳しい基準が設けられており、これと好対照をなすブラジルのお粗末な教育システムに不満の矛先が向かったようです。

デモが拡大したことで地方政府は運賃値上げを撤回しましたが、台頭する中間層の不満はくすぶり続けています。ブラジル経済は成長ペースの鈍化が著しく、一方でインフレは中央銀行のターゲット上限辺りで高止まるという「スタグフレーション」の状態にあります。

ブラジル中央銀行は4月17日と5月29日の金融政策委員会で連続利上げを決定。利上げは成長の足かせになりますが、それでも過去にハイパーインフレを経験した痛手から「まずはインフレ退治を」という流れになっています。《RS》

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