S&Pによる米国債格付け見通しの引き上げ 「政治的判断」に基づくアクションではないかもしれない

2013年6月17日 10:43

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記事提供元:フィスコ


*10:43JST S&Pによる米国債格付け見通しの引き上げ 「政治的判断」に基づくアクションではないかもしれない
多くの人は忘れているかもしれないが、米司法省は今年2月に住宅ローン関連証券の格付けをめぐりS&P社を民事提訴した。住宅ローン関連証券の格付けについては、S&Pだけではなく、ムーディーズ、フィッチなど他の格付け会社も行っており、一部の市場参加者は、S&Pだけが訴訟の対象となるのは不自然であるとの指摘が出ていた。S&Pの住宅ローン関連証券の格付けに関するロジックはムーディーズ、フィッチのそれと比較して著しく異なっていたわけではないとみられていた。

米司法長官は提訴とS&Pによる米国債の格下げは無関係であると述べていたが、市場関係者の間からは、S&Pに対して政府の強い圧力が加えられていたことは否定できないとの声が聞かれた。S&Pが米国債の格付け見通しを引き上げたのは、米国債の格付けを巡る政府の圧力を弱めることを狙ったアクションであるとの憶測が流れていたが、米国の財政ファンダメンタルズが好転しているとの見方もあり、「政治的判断」による格付け見通しの変更ではないかもしれない。《MK》

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