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【話題】日経平均800円安の犯人は円高・ロールバック・狼狽心理を突く売り叩き
■先物手口ではABNクリア、BNPパリバ、ニューエッジなど売り上位
日経平均が一時873円47銭安の1万2415円85銭まで急落した13日の東京株式市場は、株価指数先物とオプション各6月物の売買最終日。1ドル94円台という急激な円高が、明日・14日のSQ(清算値:スペシャルクオーテーション)算出に向けた不安定感を刺激する形になり、裁定取引の解消売りや、先物投資家の「今日中に売らなければ・・・」といった狼狽心理を増幅させたようだ。こうした動向や需給の変化を見て、投機筋の売り叩きも暗躍したとの見方が出ている。
■14日朝のSQ算出は売り圧迫かなり軽減も
今回のSQ算出に向けては、14日の朝一番のSQ算出を巡る売買注文が日経平均225種採用1銘柄あたり20万株から30万株の売り越しになるとの予想が出ていた。これは、現物株と先物との間で行なう裁定取引(サヤ取り投資)を軸に各証券会社の売買動向を類推して積み上げたもので、この裁定取引(サヤ取り投資)を14日に解消して利食うとした場合の予想。証券会社各々の方針によっては、利食いの現物株売却を行なわずに持ち越すロールオーバーを行なうケースもあり、逆に、ロールオーバーする予定でいたにもかかわらず、外部環境の悪化によって売却する方針に転換するロールバックもある。今回の急落の最初の原因としては、急激な円高を受けて最低取引のロールバックが急増したことがあるようだ。
一方、先物やオプションは3月物、6月物など、いわば期限付きの銘柄。SQ算出日の前日が売買最終日と定められており、この日の大引けまでに転売(転買)しない場合は、翌日に決定するSQ値段によって「強制終了」となる。全体相場が平穏な場合はSQも予想の範囲におさまる可能性が強いため、ゲタをSQに預けてもいい場合があるものの、外部環境が悪化した場合はSQも全体相場の売買動向の影響を受けるため、これを待たずに転売(転買)する投資家が増えてくる。
13日の夕方に伝えられた密計225先物6月ものの売買手口では、売り数量上位にABNクリア、BNPパリバ、ニューエッジ、クレディスイスなどの証券会社が出ているが、ABNクリアやニューエッジ証券は買い数量も同規模になっている。
■売り叩きによるマニピュレーションは20年前も大問題に
こうした需給の崩れが発生する場合、流れに乗るだけでなく、これを利用して値動きの増幅を図り、短期の値幅を狙う投機筋が参入することは、個別の銘柄でもよく見受けられることだ。日経225先物のベースになる日経平均225種は値幅型の株価指数のため、よく言われるように、ファーストリテイリング <9983> やファナック <6954> やソフトバンク <9984> など、日々の値上がり幅・値下がり幅の大きい銘柄ほど影響度が強い。これを逆手に取れば、これらの銘柄を売り叩けば日経平均を下げやすくなることにつながる。
これら、売り叩きによるマニピュレーションについては、いわゆるバブル崩壊が始まった1990年以降、大きな問題となり、当時225採用だった品薄の値がさ株が操作され安い元凶として日経平均の欠陥論まで語られ、同時にダウ式計算の日経225種平均は先物に不適当であるとの意見が登場した。これを受けて日経300先物が94年2月に創設された経緯がある。ただ、結局は知名度や値動きの活発さなどから、売買量における日経225種先物の優位性は揺るがず、現在に至っている。マニピュレーションについては当局の規制などを待つしかないものの、日経平均を上げる際にも使われるため、下げ相場のときだけ問題視するのは感情論と同列になりかねない。今回の下落は、日経平均ベースでは昨年11月に始まったアベノミクス相場の中で「3分の1押し」水準に過ぎず、上昇基調は崩れていないことも確かだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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