【アナリストの眼】ロシアWTO加盟:自動車関税は現在の30%から7年間かけて15%へ

2012年8月23日 10:17

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■自動車、家電、生産設備など先行、消費関連の進出は次の段階

  ロシアが8月22日付でWTO(世界貿易機関)の156番目の加盟国となった。ロシアの経済規模は世界第9位の約1兆9000億ドルで、WTOに加盟していない「最後の大国」と呼ばれていたが、1993年の申請以来約19年という長期間の加盟交渉を経てWTO加盟が実現した。ロシアが加盟したことでWTO加盟国・地域の貿易額は世界全体の98%に達する。

  ロシアの場合は過去に、中古車の輸入関税を突然引き上げるなどの実績も持つため、WTO加盟後も紛争の多発を警戒する見方もあるようだが、今後ロシアはWTO協定を順守し、加盟交渉で約束した関税引き下げや、市場開放に向けての投資障壁の削減計画を実行する義務を負う。ルール違反があった場合には、加盟国はWTOに提訴することが可能になる。

  関税引き下げの面で見れば、工業製品の平均関税率を約9%から約6%に段階的に引き下げることになる。たとえば乗用車(完成車)の場合は現在、輸入関税を30%としているが、これを7年間かけて15%まで引き下げる。また家電や電子製品も現在の15%を段階的に7~9%に引き下げる。コンピュータなどのIT製品については将来的には輸入関税をゼロにする。

  一方で、ロシアは関税引き下げに伴って予想される外国製品との競争に備えて、国内の老朽化した生産設備更新や技術革新などの必要性に迫られる。そしてWTO加盟によって、エネルギー資源に依存した経済構造から脱却して自動車産業などを育成したい、経済を近代化させたい、経済成長を加速させたいという狙いもある。したがって、2001年のWTO加盟で外資の誘致拡大に成功した中国の実績に倣って、外資誘致を積極化させるものとみられる。

  日本からロシアへの輸出額は、ロシアの経済成長に伴って、この10年間で約16倍に急増している。その半分以上を自動車が占めるため、自動車メーカーや自動車部品メーカーが真っ先に関税引き下げの恩恵を受けそうだ。また、日系自動車メーカーのロシアでの自動車販売は、総合商社が中心となって手掛けている。自動車の販売だけでなく、ロシアへの製品輸出や現地での販売網構築、さらには資源・材料関連取引や投資などで、特に初期の段階では総合商社の存在は欠かせないだろう。生産設備更新・近代化投資という点で見れば、工作機械や産業機械関連にも恩恵がありそうだ。

  自動車関連は日産自動車 <7201> 、トヨタ自動車 <7203> 、ホンダ <7267> などの大手自動車メーカー、総合商社は双日 <2768> 、伊藤忠商事 <8001> 、丸紅 <8002> 、豊田通商 <8015> 、三井物産 <8031> 、住友商事 <8053> 、三菱商事 <8058> 、工作機械・産業機械関連はツガミ <6101> 、オークマ <6103> 、牧野フライス製作所 <6135> 、森精機製作所 <6141> 、スター精密 <7718> 、シチズンホールディングス <7762> などがあるだろう。

  全体として輸出増加に繋がるのは自動車、家電製品、生産設備関連などが先行し、消費関連の進出は次の段階になりそうだ。もちろん、ロシアのWTO加盟でビジネスチャンスが広がるのは日本のメーカーだけではない。地理的な面や歴史的関係の面で見れば日本よりも、むしろEUや中国のほうが有利なケースもあるだろう。そうした点で見ても、グローバル競争力がなければ勝ち組にはなれないだろう(本紙・シニアアナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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