東芝、発電とCO2分離・回収が同時に可能な新火力発電システムを共同開発

2012年6月15日 15:42

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 東芝は15日、米ベンチャー企業のネットパワー社、米大手エンジニアリング会社ショー・グループ、米大手電力会社のエクセロンと、発電とCO2の分離・回収を同時に実現できる新火力発電システムを共同開発することで合意したと発表した。4社は、今後プラント設計などを行い、25MW相当のパイロットプラントを米国内にあるエクセロンの発電所敷地に2014年に建設し、実証試験を経た上で2017年に250MW級プラントの商用化を目指す。

 今回開発するのは、超臨界圧のCO2を用いた酸素燃焼の循環システムで構成され、CO2を有効活用でき、NOxを排出しないゼロエミッションの火力発電システム。このシステムを用いることで、CO2を分離・回収する設備(CCS)を別に設置することなく、高純度の高圧CO2を回収することができる。高圧のCO2は貯留することも可能なほか、米国などの石油採掘現場で用いられている「EOR(Enhanced oil Recovery:老朽した油田の掘削現場において、高圧のCO2を注入し、石油の採掘量を増大させる手法のこと)」に適用でき、CO2を有効活用できる。

 今回の共同開発において、東芝は同システムのキーコンポーネントである高温・高圧のタービン・燃焼器の開発を担当する。東芝が研究・開発を進めてきた高温タービン用材料技術を活用するほか、東芝の保有する燃焼技術・冷却技術を応用して、革新的なタービン・燃焼器の開発を進めていく。なお、ネットパワー社およびショーは発電プラントの全体エンジニアリングを、エクセロンはパイロットプラントの用地提供および許認可の取得を担当する。

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