清水建設、津波総合シミュレーションシステムを開発 最先端の三次元解析

2012年4月19日 16:17

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 清水建設は18日、津波が陸上を遡上し建物などの建造物に衝突したり、建物内に浸入する様子を三次元で高精度に再現しながら、建造物に作用する津波の力(津波荷重)を詳細に予測できる「津波総合シミュレーションシステム」を開発・実用化したと発表した。同システムは、清水建設が過去に開発した津波被害予測システムと同様、津波の発生源となる断層破壊から津波が海洋伝播する様子を解析する機能も備えている。

 一般に、津波荷重の評価では内閣府策定のガイドラインに示されている簡易な算定式を用いることが多く、清水建設の津波被害予測システムでも同じ算定式を採用している。しかし、この算定式は建物が津波に浸る高さ(浸水深)だけをもとに津波荷重の最大値を求めるものであり、津波の衝撃的な力や建物内部で発生する津波荷重、時間的な性状変化、地形や建造物の三次元的な形状の影響は十分には配慮されていなかった。

 そこで、津波総合シミュレーションシステムでは、津波の三次元的な動きを再現することにより、津波荷重の算定精度を飛躍的に向上させた。例えば、津波が防波堤を越えて激しく打ちあがり、建造物に衝突する一連の現象を再現しながら津波荷重を解析できる。これは、VOF(Volume Of Fluid)法という流体の挙動特性をリアルに再現できる解析手法を導入したこと、清水建設が風環境解析等で蓄積してきた建物や地形を含む大規模な解析領域の三次元モデル化技術を応用したことにより可能となったもの。

 今後清水建設は、最先端の同システムを活用し、市街地を遡上する津波の性状や建造物に作用する津波荷重を種々の条件下で明らかにしていくとともに、沿岸部に立地する重要構造物の津波に対する構造安全性の検討や津波対策の立案などを通して、津波防災に貢献していく考え。

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