富士重、風力発電システム事業を日立に譲渡

2012年3月30日 17:32

印刷

 日立製作所と富士重工業は30日、富士重のエコテクノロジーカンパニーが展開する風力発電システム事業を日立に事業譲渡することで基本合意したと発表した。今後、2012年7月1日の譲渡完了に向けて、両社で協議を進めていく。

 日立と富士重は、2003年に2,000kW級ダウンウィンド型風力発電システムを共同開発し、2005年12月に、茨城県神栖市波崎に試験機を設置して以降、国内の6箇所で累計25基の風力発電システムを納入している。ダウンウィンド型風車は、ローターをタワーの風下に配置した風車で、丘陵や洋上において、効率的に風を受けて発電することができる。日立は発電機や電力制御部分の設計・製造、および風力システムの販売と据付を担当し、富士重は風車本体のナセル、ブレード、タワーの設計・製造を担当することで、これまで緊密に協業関係を構築し、事業展開してきた。

 今回、風力発電システムの市場拡大や、主流が現在の2,000kW級からさらに大型化することが予想される中で、日立は、富士重からの風力発電システム事業の譲渡により、両社のリソースを集約し、大型化に向けた設計・開発力を強化するとともに、製販一体化により、今後の市場ニーズに迅速に対応する「マーケットイン」の体制を強化する。

 今後日立は、日立の電力制御技術や系統連系・安定化技術と、富士重のダウンウィンド型風車技術を融合し、製造・販売から保守サービス・系統連系・安定化を組み合わせたトータルソリューションの提供を推進していくことで、再生可能エネルギー市場におけるさらなる事業拡大を図る。一方、富士重は、今回の事業譲渡により、自動車をはじめとした他事業への経営資源の集中を図る。

関連記事