【相場展望】先高期待が優勢で円安進行すれば東日本大震災前水準に回復の可能性

2012年3月18日 10:44

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

【来週(3月12日~16日)の株式市場見通し】

■強基調の地合いに変化なく堅調な展開

  来週(3月19日~23日)の日本株式市場は、強基調の地合いに変化はなく堅調な展開が想定される。急ピッチの上昇で短期的な過熱感が強い状況が続いているだけに、常識的にはスピード調整も欲しいところだが、先高期待の買いが優勢だろう。一段と円安が進行すれば、日経平均株価が終値ベースで東日本大震災前の水準を回復する可能性も高いだろう。

  ギリシャ問題に関しては、20日に145億ユーロの国債償還期限を迎えるが、1300億ユーロ規模の追加支援を正式決定しているため、すでに市場の関心が薄れている。そして外国為替市場での円安進行に加えて、米国景気回復に対する期待感、世界的な金融緩和の動きに対する期待感、企業業績回復に対する期待感などで、投資家の買い意欲は旺盛だろう。

  また来週以降には12年2月期決算の発表が始まり、12年2月期や12年3月期の業績見通し修正の発表も増加するだろう。したがって個別物色の色合いを強める可能性もあるだろう。

  ただし短期的な過熱感が強い状況だけに、為替動向次第では目先のスピード調整局面にも注意しておきたい。さらに、3月期末に向けての思惑、欧州や中国の景気減速懸念、イランや北朝鮮などの地政学リスク、原油価格上昇の悪影響などに対する注意も必要だろう。

  前週(3月12日~16日)は日経平均株価、TOPIXともに6週連続の上昇となった。週間ベースでは日経平均株価が200円09銭(2.02%)上昇、TOPIXが18.02ポイント(2.13%)上昇した。終値ベースで見ると週末16日は、日経平均株価が1万129円83銭で昨年7月22日(1万132円11銭)以来の水準となり、TOPIXが866.73で昨年7月22日(868.81)以来の水準となった。

  ユーロ圏債務危機問題に対する警戒感が後退したうえに、米国景気回復に対する期待感、世界的な金融緩和の動きに対する期待感に加えて、外国為替市場での円安進行などが追い風となった。急ピッチの上昇に対する短期的な過熱感が強い状況は続いているが、先高期待が強く主力株に対する買いが継続した。

  そして前週末16日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均株価が8営業日ぶりに小幅反落し、外国為替市場のドル・円相場で終盤は1ドル=83円40銭近辺と、東京市場に比べてややドル安・円高水準だった。ただし、ユーロ・円相場は1ユーロ=109円90銭近辺と、東京市場に比べてユーロ高・円安水準だった。特に大きな波乱は見られなかっただけに、週初19日の日本株式市場は堅調なスタートが想定される。

  その後の焦点は、やはり為替動向だろう。円安の地合いが継続する可能性が高く、輸出関連の主力株に対しては、円安メリットで来期(13年3月期)業績に対する期待感が高まっているだけに、目先的にスピード調整しても、円高方向の流れに転じない限り調整幅は限定的だろう。

  ユーロ圏債務危機問題に関する前週の動きを整理すると、13日のユーロ圏財務相会合では、ギリシャに対する総額1300億ユーロ規模の第2次金融支援開始を決定(ユーロ圏財務相会合のユンケル議長が14日の声明で正式承認したと発表)した。またスペインに対して12年中の追加的な財政赤字削減策を求めることで合意した。15日には、IMF(国際通貨基金)がギリシャ向け280億ユーロ規模の融資を正式承認した。

  なお16日には、ESM(欧州安定メカニズム)とEFSF(欧州金融安定化基金)の合計融資能力を、現行の5000億ユーロから7000億ユーロ規模に拡大する可能性が報道されているが、決定には不透明感が強いとの見方が優勢のようだ。ギリシャ問題について一旦は市場の関心が薄れた状況だが、ユーロ圏債務危機問題が根本的に解決したわけではなく、スペインやポルトガルが次のターゲットになる可能性も指摘されているだけに注意は必要だろう。

  米国の主要経済指標では雇用情勢の改善が注目されている。13日には、米2月小売売上高が前月比1.1%増となり1月改定値の同0.6%増に比べて改善した。市場予想とほぼ同水準で5カ月ぶりの大幅な伸びだった。14日には、米第4四半期経常収支が1241億ドルの赤字となり、第3四半期改定値1076億ドルの赤字に比べて市場予想以上に赤字が膨らんだ。15日には、米新規失業保険申請件数が35.1万件となり、前週改定値の36.5万件に比べて市場予想以上に改善した。米2月卸売物価指数で食品・エネルギーを除くコア指数は前月比0.2%上昇となり、1月の同0.4%上昇に比べて鈍化して市場予想とほぼ同水準だった。米3月ニューヨーク連銀製造業景気指数は20.21となり、2月の19.53に比べて市場予想以上に改善した。米3月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は12.5となり、2月の10.2に比べて市場予想以上に改善した。16日には、米2月消費者物価総合指数が前月比0.4%上昇となり、1月の同0.2%上昇に比べて上昇率が高まったが市場予想とほぼ同水準だった。食品・エネルギーを除くコア指数は同0.1%上昇となり、1月の同0.2%上昇に比べて鈍化して市場予想も下回った。米2月鉱工業生産は前月比横ばいとなり、1月改定値の同0.4%増加に比べて鈍化して市場予想も下回った。米3月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は74.3となり、2月の75.3に比べて低下して市場予想も下回った。

  13日の米FOMC(連邦公開市場委員会)では、低金利を14年末まで継続することを確認した。そして景気認識を上方修正し、ガソリン価格の上昇に警戒感を示した。前倒しで発表された金融機関のストレステスト(特別検査)では、19社のうち15社が資本比率に関する規制水準をクリアした。

  日本に関しては、12日の1月機械受注統計で、船舶・電力を除く民需が前月比3.4%増となり市場予想を上回った。13日の日銀金融政策決定会合では、政策金利と資産買い入れ基金65兆円規模を据え置いたが、成長基盤強化を支援するための資金供給を2兆円増額して5.5兆円とし、期間を14年3月末まで延長することを決定した。

  外国為替市場の動きを見ると、ドル・円相場については、ポジション調整の動きなどで円安一服となる場面もあったが、基調としてドル高・円安の地合いだった。15日の東京市場では一時、11年4月中旬以来となる1ドル=84円10銭台に円が下落する場面もあった。ユーロ・円相場については、週後半に1ユーロ=109円台に円が下落し、全体としてユーロ高・円安の地合いを回復した1週間だった。週末16日の海外市場で終盤は1ドル=83円40銭近辺、1ユーロ=109円90銭近辺だった。

  テクニカル面では、日経平均株価(16日時点の1万129円83銭)の移動平均線に対する乖離率を見ると、25日移動平均線(同9637円86銭)に対しては5.10%、75日移動平均線(同8953円76銭)に対しては13.13%、そして200日移動平均線(同9055円22銭)に対しては11.86%となった。東証1部市場の騰落レシオ(25日移動平均)は16日時点で139.2%となり、短期的な過熱感が強い状況が続いている。

■注目スケジュール

  来週の注目スケジュールとしては、国内では、22日の2月貿易統計、23日の資金循環統計10~12月期速報などがあるだろう。

  海外では、18日の中国2月主要70都市新築住宅価格、19日のユーロ圏1月経常収支、米3月住宅建設業者指数、ダドリー米ニューヨーク地区連銀総裁の講演、20日の豪中銀理事会議事録、独2月生産者物価指数、英2月消費者物価指数、ギリシャ145億ユーロ国債償還期限、米2月住宅着工件数、米週間チェーンストア売上高、米週間レッドブック大規模小売店売上高、バーナンキ米FRB議長の講演、コチャラコタ米ミネアポリス地区連銀総裁の講演、ガイトナー米財務長官の議会証言、米FRB新理事の指名公聴会、21日のニュージーランド第4四半期GDP、タイ中銀金融政策会合、英中銀金融政策委員会議事録、ECB(欧州中央銀行)理事会(~22日)、米2月中古住宅販売、米住宅ローン・借り換え申請指数、22日の台湾中銀金融政策決定会合、英2月小売売上高、ユーロ圏1月鉱工業受注、ユーロ圏3月総合・製造業・サービス部門PMI速報値、ECB理事会(最終日、金利発表なし)、米1月住宅価格指数、米2月景気先行指数(コンファレンス・ボード)、米新規失業保険申請件数、バーナンキ米FRB議長の講演、23日のスイス中銀四半期金融政策リポート、米2月新築一戸建て住宅販売、ブラード米セントルイス地区連銀総裁の講演、ロックハート米アトランタ地区連銀総裁の講演などがあるだろう。

  その後の注目イベントとしては、26日の独3月IFO業況指数、米2月シカゴ連銀全米活動指数、27日の米1月S&Pケース・シラー住宅価格指数、米3月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、28日の米2月耐久財受注、29日のユーロ圏3月景況感・業況感指数、米第4四半期GDP確報値、30日のユーロ圏3月消費者物価指数速報値、米3月シカゴ地区購買部協会景気指数、30日~31日のEU非公式財務相会合、4月2日の3月日銀短観、3日~4日のASEAN首脳会合、4日のECB理事会(金利発表)、4日~5日の英中銀金融政策決定会合、6日の米3月雇用統計などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
【銘柄診断】エス・バイ・エルはヤマダ電機との提携に期待、今期業績が焦点に(2012/03/17)
【銘柄診断】スターバックス コーヒー ジャパン、好業績はひとまず織り込む(2012/03/17)
犬丸正寛の相場格言~データでは説明できない先人の知恵をもとに株式投資で大成功~(2012/02/02)
株式評論家・浅妻昭治のマーケットセンサー(銘柄発掘の王道を伝授・注目株厳選)メルマガがスタート!登録受付中(2012/02/02)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事